１．REIT全体市況

7月末の東証REIT指数（配当なし）は前月比+4.52%と、同期間のTOPIXの上昇率+3.16%を上回った。
好調なファンダメンタルや4年ぶりの新規上場の発表を受け、月初から上昇基調で推移。日米関税交渉の合意を受けTOPIXが急伸するも、東証REIT指数は緩やかな上昇基調を崩さず、独自の価格形成であった。月末は米国の利下げ期待や日銀の金利据置き発表を受けて、24日以降6営業日連続の上昇となり、31日は1,859.19ポイントと2023年9月以来1年10ヶ月ぶり高値を付けて終了した。月間ベースでは4月以降4ヶ月連続の上昇で、上場幅も拡大傾向にある。
東証が発表する投資部門別売買動向によれば、7月は証券会社（自己取引部門）、個人投資家、外国人投資家が売越しとなる一方、国内金融機関と投資信託が買越しとなった。1月から売越基調であった国内金融機関が7ヶ月ぶりに買越し、また新NISAの影響から昨年来10ヶ月連続売越しが続いた投資信託が直近3ヶ月連続の買越しに反転し、国内機関投資家がREIT市場に戻ってきたと考えられよう。

個別銘柄の価格では、全57銘柄うち、53銘柄が上昇、4銘柄が下落した。
大和証券オフィス投資法人は、オフィス市況の回復による賃料上昇期待や自己投資口の取得を継続して実施することで、1口当たり利益の目標値を設定し成長シナリオを提示したことが好感され、前月比+9.86％の高い上昇率となった。
また日本ホテル＆レジデンシャル投資法人、ジャパン・ホテル・リート投資法人、星野リゾート・リート投資法人、インヴィンシブル投資法人のホテル銘柄がいずれも+8%超の上昇率となった。
一方、下落した4銘柄は、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人、東海道リート投資法人、CREロジスティクスファンド投資法人、ヘルスケア＆メディカル投資法人。7月期決算銘柄が権利落ちの影響から下落した。また賃貸需給環境に対する懸念から物流施設銘柄が他の用途に比べて上昇率の低い傾向が見られた。

個別銘柄の運用動向では、7月は霞ヶ関ホテルリート投資法人の新規上場の発表があったが、既存銘柄は3ヶ月ぶりに公募増資の発表はなかった。
投資口市況は大きく回復傾向にあるが、不動産価格が高く適正な利回りで取得することが難しいため、賃料上昇期待の大きいホテルや大型のオフィスビルを除いて外部成長が難しい状況が続く。そのためブリッジファンドへ出資する形で不動産に間接投資し優先交渉権を取得する事例が増加している。大和証券オフィス投資法人は、新宿マインズタワーの追加持分へ匿名組合出資を行うことで、将来の外部成長余地を残す。
一方、不動産を高値で売却できる環境から物件売却や物件入替えが進んでいる。特に名古屋や仙台の地方都市における小規模の住宅の売却事例が多い。また賃貸需給環境やテナント分散の懸念、また含み益を実益化する目的から圏央道エリアの物流施設の売却事例も増加している。売却益を分配するとともに、売却代金で自己投資口の取得する等資本効率性の向上を図る。7月は、大和証券オフィス投資法人と産業ファンド投資法人が自己投資口の取得を発表した。

投資口の分割が再び活発化している。7月は、オリックス不動産投資法人、Oneリート投資法人、大和ハウスリート投資法人の3銘柄が投資口の分割を発表。個人を中心に投資しやすい環境整備を行う。

スポンサーの動きでは、ザイマックス・リート投資法人のスポンサーに名鉄都市開発が参入する。ザイマックス・リート投資法人は2018年上場後外部成長が進まず、資産規模は未だ439億円と小さい。名鉄グループとのダブルスポンサー体制となることで、中部圏の不動産の取得が期待でき、福岡リート投資法人、阪急阪神リート投資法人、東海道リート投資法人に続き地域特性を持つREITに転換する可能性を示唆する。


＜市況データ＞

＜東証REIT指数と予想分配金利回りの推移＞　　（グラフは2024年8月～2025年7月の24ヶ月間） 




2．個別銘柄データ

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予想利回り算出方法：年換算予想分配金（当期予想分配金＋次期予想分配金）／投資口価格

但し、 決算期が年1回の銘柄：　年換算予想分配金（当期予想分配金）／投資口価格

※予想分配金が未発表の場合、直近期の予想分配金を使用する 

※実質運用日数が変則期間の場合、年換算に修正する 

※利益超過分配金は分配金に含めて算出する