１．REIT全体市況

12月の東証REIT指数は、前月比+3.18%%の上昇。一ヶ月通してTOPIXに近似した推移となった。
欧米におけるオミクロン株の感染拡大により前月末に急落したが、過度な警戒感が後退し月初より回復基調となり、10日は2,071.16ポイントと一ヶ月ぶり高値を付けた。中旬に米国が量的金融緩和の縮小を早めるとの発表を受け、一時的に2,021.23ポイントに下落する場面もあったが、月末は米国相場の上昇を背景に再び2,070ポイント台を回復する等、米国の利上げ観測を背景に国内長期金利が上昇するも、東証REIT指数は底堅く推移した。
東証が発表する投資部門別売買動向によれば、12月は国内金融機関や個人の売越しに対し、投資信託、証券会社、外国人が買越しとなった。

個別銘柄では、全61銘柄うち43銘柄が上昇した。なかでも日本ロジスティクスファンド投資法人を筆頭に物流施設特化型6銘柄が前月比+10%超の上昇率となった。一方、公募増資を発表した投資法人みらいが前月比-7.05%の下落となった。またユナイテッド・アーバン投資法人が-6.50%、大江戸温泉リート投資法人が-4.67%と、オミクロン株による感染拡大及び長期化を懸念し、物流施設や住宅等のコロナ禍の影響を受けにくい銘柄が上昇する一方、相対的に影響を受けやすい商業施設やホテル、オフィス系銘柄に下落傾向が見られる。

個別銘柄の動きでは、投資法人みらいが公募増資を発表した。投資法人みらいは総合型REITであるが、2016年上場後ホテルを積極的に取得したため、コロナ禍前にはホテルの投資比率が20%と比較的コロナ禍の影響を受けやすいポートフォリオ構成であった。その後2年間で、ディフェンシブ性の高い物件へ入替えや用途変更、コロナ禍前より売上げが低迷していた奈良の商業施設「ミ・ナーラ」の新規テナント誘致や運営体制の変更等の施策を実施し、課題と認識していた再生計画が概ね完了した。今後は資産拡大期のフェーズと認識し、2年ぶりに公募増資を行い外部成長に舵を切る。生活密着型商業施設、インダストリアル不動産、底地を中心にコロナ禍でも収益安定性の高い資産を取得し、更にディフェンシブなポートフォリオを構築する意向。

トーセイ・リート投資法人は、スポンサーであるトーセイを割当先とする第三者割当増資を行い7物件を取得する。第三者割当増資によって、投資口価格の影響を受けず柔軟に資金調達できる点を考慮した。結果的に1口当たり利益の希薄化の影響もなく、増資公表後の投資口価格は堅調に推移した。

運用の長い銘柄や資産規模が大きい銘柄において物件入替えの動きが加速する。コロナ禍の長期化によりオフィス市況が悪化し、内部成長が厳しい一方、不動産価格は依然として高いことから、含み益を持つ物件を売却する事例が多い。物件売却益を活用し、賃貸収益の減少による減配リスクを回避したり、内部留保によって将来の減配リスクに備える動きが進んでいる。
一方、ホテル系銘柄については、当期損失を回避する目的や有利子負債を圧縮し財務の安定を目的に、保有資産を売却する傾向にある。


＜市況データ＞

＜東証REIT指数と予想分配金利回りの推移＞　　（グラフは2020年1月～2021年12月の24ヶ月間） 





2．個別銘柄データ

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予想利回り算出方法：年換算予想分配金（当期予想分配金＋次期予想分配金）／投資口価格

但し、 決算期が年1回の銘柄：　年換算予想分配金（当期予想分配金）／投資口価格

※予想分配金が未発表の場合、直近期の予想分配金を使用する 

※実質運用日数が変則期間の場合、年換算に修正する 

※利益超過分配金は分配金に含めて算出する