<ハイライト>
|
<調査目的及び手法>
J-REIT(不動産投資信託)は、市場創設から21年が経過しました。2022年12月現在、61銘柄が上場、市場全体の時価総額は約16兆円になります。不動産・金融のみならず、商社・電鉄・デベロッパー等多種多様の企業が参入し、不動産を保有・運用する主体として不動産市場を牽引する存在に成長しました。また投資対象も、オフィスビル・賃貸住宅・商業施設に加え、社会経済の変化とともに、物流施設・ホテル・ヘルスケア施設と、様々な用途に拡大し、着実に運用実績を積み重ね、不動産賃貸事業に特化した安定収益を裏付けに、高い分配金利回りを持つ金融資産として広く認知されてきました。
しかしコロナ禍によって、オフィスや住宅に求められる役割が変わり、賃貸市場に変化が出ています。また諸外国ではインフレが進み金利上昇に伴う投資市場への影響が懸念されています。
このように先の見通しが難しい市場環境のなか、J-REITポータルサイト「JAPAN-REIT.COM」は、個人投資家の皆様がJ-REITの商品性及び昨今の投資環境の変化をどう捉えているのか、その実態把握と今後の市場動向予測、またJ-REIT市場の更なる拡大を目的とし、個人投資家を対象にアンケートを実施しました。
<アンケート結果>
1. 回答者の属性 (n=398)
回答者の属性は、例年同様「40代~70代の男性」が中心。年齢別割合は昨年とあまり変わらないが、性別で見ると女性の割合が5%と少数ながらも昨年の2%から増加した。回答者の95%がREIT個別銘柄の投資経験が有り、従来同様に高い水準を維持。
<性別> |
<年齢> |
<J-REIT個別銘柄の投資経験> |
2. J-REIT投資を始めた理由は?(n=投資経験あり378、延回答数2,115)
REIT投資を始めた理由は、回答者の79%が「分配金利回りが高い」、60%が「分配金利回りが安定」を挙げる点から、高く安定した分配金利回りを持つインカムゲイン投資として広く認知されていることが分かる。また「少額で不動産投資」「分散投資のひとつ」「換金性・流動性の高さ」が支持されていることから、多くの金融商品の中で、投資対象が不動産でありながら換金性・流動性が高い特性もREIT投資の魅力と捉えられている。
3. 銘柄選択の基準は?重要視することは?(n=投資経験あり378、延回答数1,773)
例年同様、回答者の9割が「分配金利回り」を挙げており、銘柄を選択する際分配金利回りを最重視することが個人投資家に定着している。また「スポンサー」も引き続き重視する傾向。一方で、昨年は「分配金の安定期待」がランクダウンしたが、今回は再び3番目にランクアップし、「分配金の成長期待」を大きく上回る結果となった。背景に、オフィス市況悪化により賃貸収益が減少し減配リスクが顕在化する一方、物件売却益の計上により一時的に大幅増配となる事例もあり、過去に比べて分配金の増減幅が大きくなる傾向にある。個人投資家が分配金の一時的な増加よりも安定性を重視する意向が強いことが分かる。
4. 現在のJ-REIT投資額は?金融資産全体に占める割合は?(n=投資経験あり378)
現在のREIT投資額は、例年の分布と大きな違いはなく、「100万~500万円」が25%と最も多い一方、「1,000万円~2,500万円」の高額投資する割合も22%と高い。
金融資産全体に占める割合は、「20%未満」とする層が43%と例年同様に最も高く、REITを分散投資の一つに位置付ける傾向が続いている。しかし昨年と比べると、「20%未満」とする層が微減、「20~40%」「40~60%」とする層が微増となった点から、昨年よりREIT投資割合を高める傾向が見られる。
<現在のJ-REIT投資額> |
|
5. J-REIT投資運用期間(予定含め)は?(n=投資経験あり378)
REITの運用期間(予定含め)は、例年同様に「5年以上」とする層が7割と高く、設問2にて分配金利回りの高さ及び安定性を魅力としている点からも、REITを長期投資の対象と位置付ける。
6. 今後J-REIT投資額を金融資産全体の何%にしたい?(n=投資経験あり378)
REIT投資額を金融資産の「20~40%」にしたいとする層が最も高く半数近くを占める。設問4の「現在の投資比率」と比較すると、「20%未満」にしたい層が大きく減少する代わりに、「20~40%」にしたい層が大きく増加していることから、REIT投資比率を現在より高めたい意向が分かる。
7. 今後投資したい用途は?(n=投資経験あり378、延回答数1,065)
今後投資したい用途は、「住宅」が最も多く、昨年の1位である「物流施設」と逆転した。物流施設銘柄の分配金利回りが既に低いことや増資が多いことから、投資口価格に高値警戒感がある一方、住宅銘柄の賃貸収入の安定性やポートフォリオ分散による収益安定の高さが、コロナ禍で改めて見直されたと考えられる。3番目にランクする「インフラ施設」は、未だREITにおけるデータセンター等の投資実績が限定的な点から、利回り面も含め今後の投資余地を期待したものと見られる。また「都市型商業施設」が昨年よりランクアップする一方、「ヘルスケア施設」がランクダウンした。背景にはコロナ禍による商業施設の収益悪化懸念が後退したことや、ヘルスケア施設の資産価格高騰等が考えられよう。
8. 売却しよう(もしくは売却した)とする要因は?(n=投資経験あり378、回答数=897)
REITの売却要因は、例年同様「売却益の確定」が最も多く、回答者の半数が該当する。分配金利回りを指標にインカムゲイン投資を目指すも、投資口価格が上昇すれば売却してキャピタルゲインを確定する動きが窺える。
昨年と異なる点として、「運用方針・運用体制に疑問」がランクアップし、「REIT市況や金利上昇に対する懸念」を大きく上回った点が挙げられる。REITの合併やスポンサー変更が続いたこと、資産運用会社が行政処分を受けたこと等が背景として考えられる。
9. J-REIT個別銘柄に投資しない理由は?(n=投資経験なし20)
REIT個別銘柄の投資未経験者が投資しない理由は、例年同様に「REITの投資信託やETFに投資する」が最も多い。REITに投資したいが、個別銘柄を選択せずより分散投資したい意向が窺える。 また昨年と比較すると「投資口価格の上昇が期待できない」「金利上昇の懸念」がランクアップしたことから、市況に対する懸念が僅かながら高まっている。
10. 今後J-REITに投資したい?(n=投資経験なし20)
REIT投資未経験者のうち、「REIT投資信託やETFに投資したい」が65%と昨年の50%より高い割合を占め、「REIT個別銘柄に投資したい」の30%を大きく上回った。個別銘柄を自ら選別するリスク・リターンを取らず、より分散投資したい傾向が昨年よりも強まっている。一方、「今後もREIT投資はしない」とする割合が昨年の7%から5%へ減少した。
11. J-REIT投資(または追加投資)するために望むことは?(n=398、延回答数1,501)
REIT投資(追加投資)する上で期待することは、回答者の52%が「分配金の成長」を挙げ、昨年同様高い結果となった。次に「分配金の安定」がランクアップし、「分配金利回りの上昇」を大きく上回った。昨年は投資口価格の上昇により分配金利回りが低下したため、分配金利回りの上昇(=投資口価格の下落)を求める声が多かったが、今年は投資口価格の下落傾向が続いたことから、「分配金利回りの上昇」が大きく後退した。一方、分配金の増減幅が拡大している背景から、「分配金の安定」を求める傾向が昨年より強まっている。また「財務の安定性」が昨年よりランクアップしたことから、金利上昇に対するリスクをより注視している傾向が窺える。
12. 皆様からのご意見(抜粋)
本アンケートに関するお問い合わせ: JAPAN-REIT.COM運営事務局(アイビー総研株式会社 03-6661-1014 info@ibrc.jp)
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
---|---|---|
2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
1 | サムティ・レジ | +1.45% |
---|---|---|
2 | いちごホテル | +0.75% |
3 | 日本ホテル&レジデンシャル | +0.71% |
* 当サイトはJ-REIT(不動産投資信託)の情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としておりません。 * 当サイトの情報には万全を期しておりますがその内容を保証するものではなくまた予告なしに内容が変わる(変更・削除)することがあります。 * 当サイトの情報については、利用者の責任の下に行うこととし、当社はこれに係わる一切の責任を負うものではありません。 * 当サイトに記載されている情報の著作権は当社に帰属します。当該情報の無断での使用(転用・複製等)を禁じます。