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マーケットコラム

物流系銘柄に投資妙味がある理由/アイビー総研 関 大介

2025-08-15

関 大介

1. 東証REIT指数1,900ポイント台回復

J-REIT価格の上昇基調が続いている。東証REIT指数は7月中旬に1,800ポイント台、下旬に1,850ポイント台を超える動きとなっていた。上昇の動きが続き、8月12日には2023年9月以来、2年ぶりに終値で1,900ポイント台を回復した。
東京証券取引所が公表する部門別差引売買金額によれば、7月は金融機関、特に銀行が292億円の買い越しを行い価格上昇の牽引役となった。次に買い越し主体となった投資信託は130億円の買い越しであり、金融機関の買い越し額は2倍を超えている。
一方で、外国人投資家(179億円)、個人(86億円)が主要な売り越し主体となった。外国人投資家の売り越しは5月以降3ヶ月連続となるが、1兆円を超える売買金額が続いているため、J-REITに対する投資姿勢が減退している可能性は低い。また個人は価格上昇に伴う利益確定の影響と考えられる。

なお、8月13日に4年ぶりのJ-REIT市場上場となった霞ヶ関ホテルリート投資法人(401A)は公募価格100,000円に対し、終値は103,000円と公募価格を上回って初日を終えた。一方で、分配金利回りを見ると、5.65%と市場平均の4.66%から1%程度高い状態となっている。ホテル系は比較的高い利回りの銘柄が多いことも影響していると考えられる。


2. 利回り面で見れば、まだ価格上昇の余地あり

J-REIT価格上昇の背景には、継続的な増配基調があり、例えば2年前に東証REIT指数が1,900ポイントを超えた(1,903.3)時の予想分配金利回りは4.06%であった。一方で、8月13日の東証REIT指数は1,895.1ポイントで利回りは4.66%もある。予想分配金ではこの2年間で14%以上の増配となっている。
したがって、東証RETI指数が2,000ポイントになっても、予想分配金が現状を維持出来るだけで利回りは4.4%を超えることになる。つまりJ-REIT市場全体の価格上昇余地は、まだあると考えられる。
ただし、4月以降の価格上昇幅が大きいことや、7月に主要な買い越し主体となった金融機関は9月の中間期を迎えることもあり、利益確定も含め東証REIT指数が下落する可能性も高くなっている。


3. 出遅れ感の強い物流系銘柄

したがって、今後のJ-REIT投資を行う上で、出遅れ感の強い銘柄に投資することが重要になると考えられる。すでに大幅に価格が上昇している銘柄は利益確定の売りが出来やすくなっているだけでなく、分配金利回りも低くなっているためだ。
その中で用途別に見ると、物流系銘柄の出遅れ感が強くなっている。2024年末と2025年7月末まで個別銘柄の価格騰落率の中央値は11.4%上昇となっていた。この中央値を超える価格上昇を示した物流系銘柄はなく、SOSiLA物流リート投資法人(2979)の騰落率が物流系最大で中央値と同じ11.4%上昇となっていた。その他の物流系は10%を超える上昇となった銘柄はなく、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)は0.1%と僅かではあるが、価格が下落した。
物流系銘柄は比較的借入金比率が低く、国内金利上昇の影響を受けにくい点や物件売却益による投資家への利益還元を進めている銘柄も多く、今後も増配基調が続く可能性が強い。価格低迷要因と考えられる外国人投資家の売り越し基調は続いているが、利回りも市場平均を超える銘柄が多く、投資妙味は高いと考えられる。


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