<ハイライト>
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<調査目的及び手法>
J-REIT(不動産投資信託)は、市場創設から17年が経過しました。2018年9月現在、61銘柄が上場、市場全体の時価総額は12兆円を超えました。
リーマンショック後一時低迷しましたが、合併やスポンサー交代等の再編を経て、アベノミクスとともに成長を重ねた結果、REITは不動産を保有・運用する主体として不動産市場を牽引する存在まで成長しました。
REITの運用実績を見ると、不動産の賃貸事業に特化し、高く安定した分配金実績を継続し、かつてない低金利のなか平均分配金利回りは4%で推移しており、投資家においては金融資産の一つとして認知が高まっています。
このような市場環境のなか、J-REITポータルサイト「JAPAN-REIT.COM」では、個人投資家がJ-REITの投資環境の変化及び商品性をどう捉えているのか、その実態把握と今後の市場動向予測、またJ-REIT市場の更なる拡大を目的とし、個人投資家を対象にアンケートを実施しました。
<アンケート結果>
1. 回答者の属性 (n=479)
性別では、男性が96%と圧倒的に多く、例年同様女性の関心の低さが指摘できる。
年齢層も例年の分布と大きく変わらないが、昨年よりもシニア世代(60歳代)が3%増加する一方、若年層(30歳代)が4%低下。日本の人口構造が変化するなか、回答者の年齢層の分布も徐々に変化が表れている。
年収別も例年と大きく変わらないものの、「100万円~500万円」が昨年より3%増加、「1,000万円~2,500万円」が2%増加する一方、中間層である「500万円~1,000万円」が3%低下した。1,000万円以上の富裕層が一定数存在する点と、年齢の分布と併せて見ると、年金受給者が増加している点が推測できる。
J-REIT個別銘柄への投資経験を持つ割合は95%と高い。
<性別> |
<年齢> |
<年収> |
<J-REIT投資経験> |
2. J-REITのしくみを理解している?各銘柄の特徴を理解している?(n=479)
回答者の97%がREITの仕組みを理解、90%が銘柄の特徴を理解していると認識されており、REITの17年のトラックレコードや市場拡大を背景に、個人投資家におけるREIT認知度は高く安定している。
<J-REITの仕組みを理解している?> |
<銘柄の特徴を理解している?> |
3. J-REIT投資を始めた理由は?(n=投資経験あり455、延べ回答数2,350)
REIT投資を始めた理由に、回答者の85%が「分配金利回りの高さ」を挙げる。REITをインカムゲイン投資の対象とする認識が根付いている。
分配金利回りの次に「少数で不動産投資」「換金性・流動性の高さ」がランクする点から、不動産投資でありながら流動性が高い特徴が支持されている。
また「決算期が分散」が昨年よりランクアップした。決算期が分散しているREITの特徴が投資家に受け入れられている。REIT銘柄数が61まで増加したことから、投資家が決算期を分散して投資する余地が拡大したことも一因と言えよう。
4. 銘柄選択の基準は?重要視することは?(n=投資経験あり455、延回答数2,331)
銘柄選択の基準に、回答者の87%が「分配金利回り」が挙げ、他の項目を圧倒する。設問3にてREITがインカムゲイン投資として認識されている点からも、分配金利回りが投資指標として最も活用されている。
2番目に「スポンサー」がランクする。運用主体がどの企業であるか、投資家が重要視していることが分かる。
また「分配金の成長」が「分配金の安定」」が上回り、3番目にランクしたことが今年の調査結果の特徴と言える。昨年は「分配金の安定」を重視する投資家の方が多かったが、好調なオフィス市況等を背景に収益増加期待が高まっている。
一方、投資口価格の安定や上昇期待を挙げる回答者は25%程度と昨年よりも低下した。既に投資口価格が高い水準にあることや、外国人投資家の投資口売買シェアが高く投資口価格が海外情勢の影響を受けやすい環境下から、投資口価格の推移に注視する傾向が低くなっている点が指摘できる。
5. 現在のJ-REIT投資額は?金融資産全体に占める割合は?(n=投資経験あり455)
REIT投資額は「100万円~500万円」が全体の27%を占め、例年同様に最も高い。しかし昨年より「100万円未満」が減少する一方、「500万円以上」が増加。REIT市場規模が拡大するなか、一人当たりのREIT投資額も増加する傾向にある。
現在の金融資産全体に占めるREIT投資額の割合は、例年同様「20%未満」とする割合が半分近くを占め、REITを分散投資と位置付ける。
<現在のJ-REIT投資額>
<J-REIT投資額が金融資産全体に占める割合>
6. J-REIT投資運用期間(予定含め)は?(n=投資経験あり455)
投資期間を「5年以上」とする割合が69%と、昨年の62%から7%増加、一昨年前の55%と比較すると14%増加し、REIT投資期間の長期化の傾向が高まっている。
例年の調査によれば、投資口価格の変動と投資期間に相関性が見られる(具体的には、投資口価格の変動が大きいと投資期間が短くなる一方、投資口価格の変動が小さいと投資期間が長くなる傾向)。2018年は3月以降投資口価格が安定的に推移し変動が小さいことや、分配金水準が増加傾向にある点から、長期投資を視野に入れる投資家層が増えていることが分かる。
7. 今後J-REIT投資額を金融資産全体の何%にしたい?(n=投資経験あり455)
昨年同様に、REITの投資割合を金融資産全体の「20%~40%」を希望する層が38%と最も高い割合を示す。
一方「60%~80%」と自身のポートフォリオの半分以上をREITにしたい層が12%と、昨年の8%から増加する一方、「20%未満」に抑えたい層が昨年の30%から25%へ低下。REITの好調なファンダメンタルを背景に、REIT投資割合を高めたい傾向にある。
設問5の現在の投資額と比較してみても、今後REIT投資割合を高めたい意識が高い。
8. 売却しよう(もしくは売却した)とする要因は?(n=投資経験あり455、回答数=1,164)
売却の要因として、REIT投資経験者の46%が「売却益の確定」を挙げ、昨年同様に最も多い。次に「他のREIT銘柄へ乗換え」「分配金利回りの低下」が続く点から、長期投資でインカムゲインを目的とするが、投資口価格が上昇すれば、利益を確定し、相対的に利回りの高い他のREIT銘柄へ乗り換える動きも想定される。
一方、「純資産価格(NAV)との乖離」が昨年より後退した。背景には、インカムゲインを目的とした投資スタンスが主流となるなか、割安感のある銘柄を物色しキャピタルゲインに着目する投資スタンスが薄れていると見られる。
9. 投資情報はどこで手に入れる?(n=479、回答数=1,305)
本アンケートを行っている経緯から、本サイト「JAPAN-REIT.COM」を利用する投資家が78%と高い割合を示す。毎日更新される分配金利回りやNAV倍率の一覧等、REIT銘柄の情報を横断して比較できる利便性の高さが評価されている。
2番目には、例年「新聞や雑誌」がランクしていたが、今年は3番目に後退した。REITのファンダメンタルは安定している一方、新規上場規模が小さい点や投資口価格の公募割れが続く等、他の金融商品に比較して話題性に乏しい点が指摘できる。
一方、各投資法人のサイトが2番目にランクアップした。情報量が多く即時性が高い点、リニューアルによって内容がより充実しより見やすく改良されている点が評価に繋がっていると見られる。
10. J-REIT個別銘柄に投資しない理由は?(n=投資経験なし24)
REIT投資の未経験者がREITに投資しない理由として、「その他」が最も多く、その内容として、勤務先の社内規則により投資が出来ない理由が最も多かった。本サイトのユーザに金融機関等の機関投資家が多いことも影響していると考えられる。
次に「REIT市況の懸念」「REITの投資信託やETFに投資する」と続く。
投資しない理由として突出するものはなく、大別すると、個別銘柄が選択出来ないため投資信託やETFに分散投資する、市況に対する懸念、利益相反等のREITの仕組みに対する懸念の3つに分類できる。
一方、今年の調査の特徴として、昨年2番目にランクアップした「金利上昇の懸念」が今年は後退した。日銀の金融緩和が継続し、当面金利上昇リスクは限定的と投資家に認識されている。
11. 今後J-REITに投資したい?(n=投資経験なし24)
REIT投資の未経験者のうち、83%と高い割合がREITに投資したい意向を示しているが、「今後もREIT投資はしない」とする割合が昨年の7%から17%へ大きく上昇した。また「REIT個別銘柄」への投資希望は昨年の45%から54%へ上昇する一方、「REITの投資信託やETF」への投資希望は昨年の48%から29%へ大きく減少し、昨年から逆転する結果となった。
REIT個別銘柄へ投資したい割合が増加する一方、REITの投資信託やETFの投資を希望する割合が減少した背景には、昨年、毎月分配型投信が個人投資家の長期投資に適さないとの金融庁の指摘により、金融機関の販売姿勢が変化し、REITの投資信託から資金が流出した。その結果、純資産額が減少しREITの投資信託への信頼性が揺らいだ。資産運用会社は、REITのファンダメンタルと毎月分配型投資信託の問題を切り分けて説明することが求められよう。
12. J-REIT投資(または追加投資)するために望むことは?(n=479、延べ回答数1,770)
昨年と同様に「1口当たり分配金の成長」が最も高く、回答者の半数を超えた。好調な賃貸市況を背景にした収益の増加と金利コストの減少に伴い、分配金の増加基調が続いている。また不動産価格の上昇に伴い、REITが保有資産を売却し、ポートフォリオを入れ替える事例も多く、売却益によって一時的に分配金を増額する銘柄や、内部留保が積み上がっている銘柄も増加している。但し、不動産価格の上昇により更なる外部成長が難しい点や都心部のオフィスの大量供給も続く点から、賃料上昇率はやや鈍化していくことが想定され、今後の分配金の成長を期待するには投資家による銘柄の選別が求められよう。
また投資口の下落(利回りの上昇)を期待する割合も上昇している。現在投資口価格が高い水準で推移しているため、新たに投資するためには、一定の分配金利回りを確保したいとの意見も多い。
13. 皆様からのご意見(一部抜粋)
本アンケートに関するお問い合わせ: JAPAN-REIT.COM運営事務局(アイビー総研株式会社 03-5405-9525 info@ibrc.jp)
1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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