2014-03-25
J-REITの価格は、ウクライナ情勢の緊迫化に伴い軟調に推移しています。2月下旬に1,500ポイント前後まで上昇した東証REIT指数は、3月12日以降になると2月上旬から中旬と同じレンジとなる1,450ポイントから1,480ポイントでの取引となっています。一方でJ-REITの1口当たり分配金などのファンダメンタルズでは悪材料は生じていません。従って外部環境のさらなる悪化によりJ-REIT価格の下落幅が大きくなる局面があれば投資好機と考えられます。
さて今回は、J-REITのETF(以下、単に「ETF」)について記載します。
ETFは、現時点では全て東証REIT指数に連動した運用を目指す投資商品です。ETFは今年1月まで2銘柄だけでしたが、2月25日に三菱UFJ投信が運用する証券コード1597と、3月7日に農林中金全共連アセットマネジメントが運用する証券コード1595が上場し、合計で4銘柄(図表1)となりました。
このうち3銘柄(1343、1595、1597)は、決算が年4回で決算期がそれぞれ異なる商品設計になっています。また投資単位が10口単位となっていますので、東証REIT指数が1,500ポイントの場合は、それぞれ15,000円程度で投資が可能です。つまり3銘柄に投資すると45,000円程度で毎月分配型のETFになるのです。
J-REITの毎月分配型の投資商品としては、J-REITの投資信託(ファンドオブファンズ、以下FOFs)が代表的な商品となっていますが、信託報酬はETFの倍近い商品が大半です。従って、ETFを3銘柄購入することは有力な選択肢になりそうです。
ただし、J-REITのETF3銘柄に投資して毎月分配型のポートフォリオを構築する上で注意すべき点があります。最も大きな注意点は、前述の通りETFは東証REIT指数に連動する運用となっている点です。東証REIT指数は、時顔総額の加重平均で算出されています。このためETFは、時価総額の大きな銘柄への投資比率が高いポートフォリオが形成されることになります。
このような特色から、一点目の注意点としてETFの分配金は時価総額の大きい銘柄の決算期を含む決算期には多くなり、逆の場合は少なくなるということが挙げられます。例えば、証券コード1345のETFの分配金は図表2の通り変動しています。FOFsは同一金額を比較的安定的に分配することが多いことと比較すると、ETFは分配ごとの変動幅が大きくなるのです。ただしFOFsが同一金額を分配するために実質的に投資家資金の払戻しとなる特別分配金を支払うことがある点とは異なり、ETFの分配金は全て収益から生じる普通分配金です。
二点目の注意点として、時価総額が大きいオフィス系銘柄が多いため、ETFへの投資はオフィスビル投資の比重が高くなる点です。J-REITが保有する物件の比率(取得額比)で見ても11兆4,000億円を超える不動産のうち47%程度(2月末現在)をオフィスが占めています。また、J-REITは44銘柄上場していますが、オフィス特化型の日本ビルファンド投資法人(8951)とジャパンリアルエステイト投資法人(8952)の2銘柄だけで時価総額の19%程度(それぞれ時価総額の10.2%、8.4%、3月19日時点)を占めています。その他、オフィスを含む総合型や複合型銘柄も時価総額の上位となっていますのでETFに投資することは、オフィス主体の投資とも言えるのです。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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