2013-11-21
J-REITの価格は11月7日以降、やや軟調に推移しています。東証REIT指数は、10月の平均値である1,463.61ポイントを下回る水準での推移が続き11月20日の終値は1,451.08ポイントとなりました。
11月22日にイオンリート投資法人(証券コード3292)が新規上場を行ないますが、投資家からの資金調達額は945億円と比較的大型の上場となることや前回の連載後も3銘柄が増資を公表するなど、投資口の新規供給が続いています。従ってJ-REITの価格動向としては、比較的しっかりとした値動きと見ることもできます。
2014年1月からの制度導入が決定しているNISA(少額投資非課税制度)に対応したJ-REITの投資口分割の動きについて記載して行きます。NISA制度では、毎年100万円までの投資に対しNISA専用口座での利益(売却益や配当金)が非課税となります。非課税となる投資対象は株式や投資信託となっていますのでJ-REITも含まれています。100万円という投資枠に対応して今月に入り2銘柄が投資口の分割を公表しました。
その2銘柄とは、日本ビルファンド投資法人(証券コード8951、以下NBF)とジャパンリアルエステイト投資法人(証券コード8952、以下JRE)です。NBF、JREは、ともにNISA制度がスタートする1月1日から投資口を2分割する予定です。
投資口分割の背景として、この2銘柄の価格は年初来の終値平均で100万円を超えていることが指摘できます。11月20日終値で見てもNBFは118万4,000円、JREは106万5,000円ですのでNISAでは投資できない銘柄となっていたのです。
NBF、JREともにJ-REIT市場がスタートした2001年9月の上場銘柄であり、時価総額も11月20日時点でそれぞれ1位、2位(NBF・8,193億円、JRE・6,327億円)というJ-REITを代表する銘柄と言えます。従って今後、この2銘柄に追随して投資口を分割する銘柄が増える可能性もあります。NBF、JREを以外にも年初来高値で見れば100万円を超えている銘柄が存在します。この点からこの5銘柄は、投資口分割を行う可能性が比較的高い銘柄と考えられます。
一方で、終値平均が100万円を超えていない点から投資口の分割を行わない可能性もあります。その理由として、J-REITを運用する資産運用会社の考え方として、過去の事例から投資口分割による個人投資家比率の向上効果は薄いと考えていることが挙げられます。その事例とは、日本プライムリアルティ投資法人(証券コード8955、以下JPR)の個人投資家比率の変遷です。JPRは、上場前に投資口を2.5分割し上場時の公募価格が20万円でした。すでに上場していた銘柄と比較すれば、低額で投資できる銘柄として上場したのです。しかし、個人投資家比率は上場直後に迎えた第1期決算期末では26%を超えていましたが、その後のJPRの価格上昇に伴い低下を続け2006年12月期末には10%を切り、直近決算期末である2013年6月期には6.2%になっています。
つまりJ-REITの運用側から見れば、投資口分割を行っても個人投資家は短期保有主体であり長期安定的な保有主体という期待は出来ないという実例が既に生じているのです。また投資口分割によって投資主管理のために費用は増加することになりますので、効果が見込めない場合には、投資口分割を行わないという選択を行う必要もあるのです。NBF、JREの分割が2分割という必要最小限度であったことも、この点が影響していると考えられます。
ただし、NISA口座の投資においては、長期的に保有することで生じるメリットが大きくなっています。従ってNISA制度スタートにより個人投資家の動向に変化が生じれば、多くの銘柄が投資口の分割を行うことになりそうです。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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