2012-02-03
かつて2003年に東京都心部を中心とした新築オフィスビルの大量供給があり、オフィスビル市場全体が影響を受け、新規供給分を吸収するのに有に3年間は要しました。当時は需要も比較的旺盛であったので、かなりの供給量でも消化しましたが、果たして2012年の新築オフィスビルの大量供給はどうなるのでしょうか。
数字的な見通しは調査主体によって異なっていますが、ここではザイマックスのレポート(2010年12月発表)から引用すると、2012年の新規供給量は37.5万坪であり、2011年の25.6万坪の46.5%増となります。2003年の新規供給量が34.4万坪でしたから、2003年より供給量が多いという予想となります。
一方、今日のオフィスビルの国内需要は、統計的に見て既にピークアウトしていますから、2003年のような需要による消化は遅くなると考えられます。またここ3年間位オフィスビル市場は低迷を続けていますから、これに追い打ちを掛ける事になりそうです。
REITのオフィスビルセクターを見ると、未だ底を打ったとは言えない状況で2012年を迎えてしまいましたので、今年から来年にかけては各銘柄とも苦労すると考えられます。
但し、銘柄によって事前の対応に温度差があるので、それがどのように響くかという点も注目となります。
REIT全体にとっても、オフィスビル市場の低迷が続くのはマイナス要素ではありますが、投資家にとっては、その主体によって影響度が異なりそうです。
投資判断がオフィスビル銘柄偏重であった国内機関投資家や投資信託はオフィスビル市場がもう一段下がると投資口価格に大きな影響が及び、投資リスクが増大します。
一方の国内個人投資家は、既に主要オフィスビル銘柄から離れていますから、影響度は小さくなります。逆にレジデンスセクターや一部の総合型銘柄にシフト済の投資家は、市場全体の動きによって多少は下がるかも知れませんが、オフィスビル専門銘柄以外の投資法人のパフォーマンスの変動は比較的小さそうですから、高い配当率をそのまま享受出来る可能性があります。
更に海外から見ると、以前よりオフィスビル2012年問題自体が需給バランスを無視した事象として捉えていて、供給側の不見識を指摘しています。即ち、需給バランスを大きく崩すのが分かっているのに、何故供給が止まらないのかという見方です。
国内の見方を以てすれば、計画をストップ出来ないのは何となく分かりますが、海外から見るとレミングネズミのような行動と映るのかもしれません。
いずれにしても2012年は日本のオフィスビル市場が新しい局面に入る最初の1年になりますから、REITは対処療法だけでなく、戦略的な展開で乗り切って欲しいものです。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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