2011-09-16
東証REIT指数が8月5日から約40日間連続で1,000ポイントを割っていて、9月15日終値では940.75まで下がっています。
この指数の動きを見ると、REITに魅力を感じる方は少ないと思いますが、このような動きになっているのは今一つ解せない面があります。
投資口価格が下がるという事は、投資利回りが上昇することですから、それだけリスクが高く見られているという事になります。
では、何故リスクが高いと見られているのかを考えると、
① 従来、高い市場評価を得ていたオフィスビル銘柄がオフィス賃貸市場の低迷を受けてパフォーマンスを下げたこと。
② 依然として存続が危ぶまれる銘柄が存在していることが、REIT全体を押し下げている。
③ それぞれの銘柄に目立った動きが見られないこと。
等が挙げられますが、①については、元々、市場が誤解していたとも言えます。
投資用不動産としてみると、オフィスビルはレジデンスに比べて収益のボラティリティの高いセクターですから、賃貸市場の動きによって上下するのは仕方ないとも言えます。
但し、REITという仕組みは個々の保有不動産の集積だけで勝負しているのではなく、ポートフォリオによって想定しうるリスクをヘッジしたり、ボラティリティを抑制したりしていますから、必ずしも賃貸市場の動向に即左右される訳ではありません。
また、財務的な手段によって収益ボラティリティも抑制しますから、REITを単純な不動産投資と同列に見るのは誤りです。
一つの例を挙げると、REITの上位24銘柄の過去のトラックレコードを見ると、実績分配金の平均変動率は、13回決算(6年半)を行って11.25%に過ぎません。更に、変動率の小さいトップ10の銘柄の平均値は、12回決算を行って6.97%の変動率しかありません。
もしREITを分配金目当てのインカムゲイン投資商品として見れば、これらは十分な数字になるはずです。
所がREITの中には更にこの上があって、合併に伴う負ののれん代を剰余金として留保していて、この剰余金を分配金が減少した場合の補填財源として利用出来る銘柄があります。この場合、直近期の分配金総額からみると、何れも今後10期(5年)程度は現在の分配金水準をそのまま維持出来る計算になります。
現在、BBB格の5年社債の利回りは0.8%/年程度ですが、5年間も現在の分配金を維持出来る銘柄の投資口価格利回りが5.5%以上になっていますから、インカムゲインで見ればまさに最強です。
それに、これらの銘柄の格付けはAAかAですから、デットとエクイティの違いはあっても、同じインカムゲイン商品として見れば、REITが優れているのは一目瞭然です。
では、何故REITの評価が下がるのかというと、それは株式と同じに見られているからに過ぎません。
ミドルリスク・ミドルリターンのインカムゲイン投資商品として登場したREITの商品性が市場に認識されていない事、またかつて東証REIT指数が2,600ポイント位まで上昇してしまった事で、キャピタルゲイン目当ての投資商品として分類されている事だと思われます。
勿論、REIT全てが良いとは言いませんが、インカムゲインというフィルターを通して個別銘柄を吟味すれば、十分に投資価値のある銘柄がいくつもあるのが実態ですので、直ぐにとは言いませんが、少しずつ市場評価も修正されるべきではないかと思います。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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