2010-05-14
FCレジデンシャル投資法人が平成22年4月6日に第3者割当による増資(払込期日;5月12日)を発表しましたが、その後4月26日に投資主から増資差止の仮処分の申立てが東京地方裁判所へ提出されました。
増資差止を申し立てたのは、エスジェイ・セキュリティーズ・LLCという米国系の投資ファンドで、大量保有報告書によると、このファンドは平成20年10月にFCレジデンシャル投資法人の投資口7,600口(発行済投資口数の23.2%)を取得しています。従って、エスジェイ・セキュリティーズ・LLCは、従前よりのFCレジデンシャル投資法人の投資主であった事に相違ありませんが、詳しい実態は不明です。
次に、差止の対象となった増資は以下の通りです。
発行新投資口(a) 27,776口
発行済投資口数(b) 32,700口
a/b 84.90%
発行価額(1口当り) 180,000円
増資前の投資口簿価 456,338円
増資前の純資産額 464,272円
増資前のLTV 26.20%
増資差止の原因になったのは、先ず第3者割当増資価格にあります。
第3者割当増資の発行価額の算定は、直近3ヶ月の平均市場投資口価格に0.9を乗じて算出したもので、計算上の問題はなさそうですが、従前の投資口簿価に対しては-61.6%にもなり、且つ発行済投資口数の84.9%の増資ですから、相当な希薄化が想定されます。
しかもLTVから見れば、これ以上低下させる必然性も弱く、借入金返済目的の増資としては合理性に欠きます。
従って、普通に考えれば、このような増資を行えば将来とも回復不能に陥りますから、余程の事がない限り敢行しません。
また、元々FCレジデンシャル投資法人は上場時から殆ど外部成長を行っておらず、資金ニーズもありませんでしたから、この時期に大幅な希薄化を生じさせる増資を行うのは腑に落ちません。
恐らく裁判所も同様な判断で差止仮処分の決定を下したのだと思います。
REITは投資主の為の仕組みですし、その投資主とはインカムゲイン目的の長期投資姿勢を持った投資家を想定していますから、その投資家の不利益になるような行為は、当然避けるべきなのですが、ガバナンスが正常に機能しない為に、司法の判断を仰がなければならなくなりました。
現在のREITはデット環境の悪化に苦しみつつ、又、エクイティ調達も思うに任せず苦境にあることは確かですが、だからと言って短絡的に投資家に不利益を生じさせる訳にはいきません。
銘柄によっては、セカンド・エフォート、サード・エフォートを行い、我慢をしなくてはならない時期でもあります。
その意味でも、今回のことはREITとその関係者に警鐘を鳴らすことになったと言えますので、意義のあることではないかと考えます。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
---|---|---|
2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
1 | アドバンス・ロジ | +2.39% |
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2 | コンフォリア・レジ | +0.64% |
3 | NTT都市開発リート | +0.09% |
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