2009-10-16
東証が発表する投資部門別売買動向を見ると、昨年からの買い越し主体であった個人投資家の投資姿勢が変化しています。
個人投資家は、2008年は大幅買い越しとなっていて、2009年でも1月~6月まで連続して買い越しでしたが、7月からは一転し、9月まで3ヶ月連続の売り越しになっています。
又、売買シェアも海外法人に次いで第2位の位置に居ましたが、9月は3位に落ちています。
海外法人も8月・9月は売り越しに転じていますが、今年の2・3月にも売り越していますし、昨年9月も売り越していますから、単なる循環的な動きかも知れません。
従って、気になるのは個人投資家の動きです。全体に投資口価格が低迷していますから配当利回りが高くなっていて、インカムゲイン投資としては相対的に魅力が高まっていながら、売り越しに転じているのが問題です。
この動きをどのように見るかによって解釈が異なりますが、筆者が見る所では、いくつかの要因が重なっているのだと思います。
その1
上半期は、高配当率と価格上昇期待の両面から低位銘柄を買い越したが、当面これ以上の価格上昇期待がないので利確売りに転じた。
その2
賃貸市場の悪化を受けて、今後のREITのパフォーマンス低下懸念から売りを強めた。
その3
投資雑誌等マスコミでの取り上げ方に勢いがなく、REIT投資のインセンティブが低下した。
なお、これについては筆者を始めとして、REIT関係者が煽るようなコメントをしないという節操が働いている為だとも言えなくはありません。
以上の3つの見方が出来ますが、株式投資を基準として考える日本の投資環境ではやむを得ない面もあります。
短期売買によって利鞘を稼ごうとする投資家にとって、株式に比べて価格の変動幅が大きいREITはターゲットになり易いという事も言えましたが、その変動率も7月からは小さくなっていて、投資チャンスが減少しています。
このように考えると、現在の取引動向を余り悲観的に見る必要はありませんが、それでも本来のREIT投資を粘り強く訴えて、中長期投資姿勢の個人投資家を呼び込む努力がREIT各社に求められます。
一方、REIT投資家にとって、今の市場はじっくりと銘柄を選べる時期ですし、又、有力銘柄であっても年5%以上の配当利回りになっていますから、投資タイミングとしては決して悪くはありません。
オフィスビル賃貸市場の悪化の影響も、REITの過去のデータを見れば限定的ですし循環的な動きでしかありません。 レジデンス市場も大きく崩れる可能性はありませんから、レジデンスセクターの欠点である物件の収益利回りを向上させるような動き(合併等)が強まれば、このセクターの魅力が回復します。
現在の市場を筆者の基準でREIT銘柄を選別すると、投資適格銘柄が20銘柄に達しますから、選択の幅もありますので、REIT投資を理解している投資家にとっては良い環境なのではないかと思います。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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