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マーケットコラム

REITに新展開の可能性/REITアナリスト 山崎成人

2012-08-24

REITアナリスト 山崎成人

 先週触れたREITの制度改革が実現されるようになると、REITの見方を変えていく必要がありそうです。勿論、新たな制度によって直ちに銘柄の見方が変わる訳ではありませんが、新たな制度の咀嚼と活用によって、2013年のREITは従来と異なった視点も必要になります。
今までは、投資口価格が低迷状態に入っている銘柄は投資適格にはなりませんでしたが、検討中の案が実施されれば、低迷銘柄にも逆転があり得ます。
但し、逆転にはいくつかの前提条件と明確なシナリオが必要ですから、資産運用能力が劣っていたり、REITに対する理解度の低い銘柄は期待薄です。
また投資家への説明能力の高さも求められますし、概して低迷銘柄の投資主には個人投資家が多いですから、大口投資家向けの説明しか出来なかった資産運用会社、個人投資家向けにさしたる活動もしていなかった資産運用会社には無理かも知れません。
何しろ再建案を実施しようとすれば、一時期にしろ投資家に負担を求めなければなりませんから、今まで投資家向けのアプローチに独自の活動を行ってこなかった銘柄では、唐突の感が否めません。
それに、今回の改革案はREIT全てに対してメリットのあるものと、低迷銘柄にとって有効な案が混在していますから、業界内の動向だけを見て検討出来るものでもありません。
換言すれば、一定の範囲内で活動し閉じられた世界の情報交換だけで過ごしてきた銘柄は対象外になるかもしれません。

こうなると、REITの世界も遠からず完全淘汰の時代に入るかも知れません。改革案を活用出来なかったり、一方的に強行するような銘柄は、REITとして残れなくなる可能性が高まり、デットの調達にも支障を来し、ついには市場から離脱することにもなりかねません。
今までは低迷銘柄も何とかデットを繋ぐことは出来ましたが、新たな局面に入れば、金融機関にとって融資を続ける理由がなくなります。
再建も出来ず、又投資家の反発も買うような銘柄にデットを融資しても不良債権化するだけですから、恐らく期限を切っての融資になるのではと思います。
こうなると低迷銘柄にとっては正に死活問題ですから、目の色が変わるかもしれません。
然しながら、大きな視点で見れば、REITを中途半端な状態で温存するよりは遥かに良いですし、新たな発展の可能性にも繋がりますから、REIT全体にとっては大変良い事だと考えています。

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