2009-06-26
私は2001年から各銘柄の決算時に公表される詳細なデータを集計していますが、最近の決算発表によるオフィスビル稼働率が気になっています。それも、ポートフォリオ全体の平均稼働率ではなく、個々のオフィスビルの稼働率の変化です。
公表されたデータから各保有物件の稼働率、賃料、利回り等を算出し、その数値を物件一覧表に転記する作業を、既に8年近く続けています。
この際に、稼働率や賃料が前期に比べて大きく変化した物件は、その物件のロケーションや建物の質等を思い浮かべながら記入していますので、「やはり」と思ったり「なぜ?」と思ったりする時があります。
2006年・2007年頃は軒並み稼働率が100%になるオフィスビルが多く、明らかに貸し手市場だと感じましたが、2003年~2005年上期では、「オフィスビル2003年問題」の影響によって稼働率や賃料が下落したりする物件が目立ちました。
この時は、総じて立地条件に若干問題があったり、建物の質が相対的に劣ったりする物件にその傾向が顕著に表れましたので、やはり市場競争力は正直だなと感じました。
今回は、「オフィスビル2003年問題」の時と比べれば、REITの銘柄数も増えていて保有物件もバライティに富んでいますので、物件だけの問題でなくリーシング能力、そして、AM・PMの対応能力も反映されますから一律な動きにはなっていません。
それでも、稼働率が90%前後に落ちている物件を見ると納得できる面があります。
今の状況を2003年~2005年上期と比較すると、オフィスビル市場が軟調化する初期状態のように感じますので、この先が不安になります。
2003年問題の時のデータを拾ってみると、ピーク賃料と比べて約30%低い賃料水準まで下落している物件が目立ちましたので、賃料下落はこれからが本番だとも言えます。
但し、賃料水準の下落には個体差があって、中には踏ん張りそうな物件もありますので、マクロ傾向だけでオフイスビルセクターを論じるのは拙速です。
又、同様にレジデンスセクターにも景気後退の影響が出ていますし、商業施設の都心型店舗ビルの賃料にも下落傾向が表れています。
こういう状況は投資家にとっては大変に気になることだと思いますが、私のような立場にあると、自らの物件選別観を検証する機会になります。
B級だと思っていた物件のパフォーマンスが低下したり、本来の賃料水準だと考えていたレベルまで下がり始めると納得します。
中には健闘している物件や銘柄もあり、その理由や背景を考えるのも勉強になりますから、こういう時期は、私のようなアナリストにとっては非常に重要な機会になりそうです。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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