2007-03-05
ここのところJREIT株価に影響を与えることが立て続けに起こっています。
先ず、ダヴィンチ・セレクトへの行政処分勧告があり、次いで、日銀による金利引上げ、そして中国発の世界同時株安と、2週間足らずの間に3つの大きな事象がありました。
ところが、JREITにとって、本来影響が大きい行政処分勧告と金利引上げでは、それ程大きな株価調整がなく、世界同時株安の影響の方が大きくなっています。
この最近の動きだけで判断するのは早計ですが、どうもJREIT市場に大量の短期投資資金が流れ込んでいるのではないかとの憶測も成り立ちそうです。
JREITは不動産投資ですから、株式と違って現下の景気動向にはシンクロしません。 また、JREITの多くは不動産賃貸市場の短期の動きには慎重に対処していますから、仮に賃貸市場が貸し手優位になったとしても、配当金が大きく上昇するような内部成長(賃料収入増による配当金上昇)は見込めません。
それにも拘わらず、JREIT株価が上昇するのは、金余りの中で、とにかく何でも良いから理由を付けて投資資金を振り向けるという、株式投資のような投資姿勢を持った投資家の存在が大きくなっているからではないかと考えられます。
ここで気になるのは、このような状態では個人投資家のJREITからの離反が加速することです。 先日、決算発表を行った12月決算銘柄の中で、ジャパンエクセレント投資法人の決算説明会資料を見ると、投資口数の保有比率では、個人が3.8%となっています。 ジャパンエクセレント投資法人は昨年の6月にIPOしたばかりの銘柄ですが、わずか半年で個人投資家の保有比率(口数比)がこれだけ低下したのには驚きました。
恐らく、この傾向は他の銘柄も同じではないかと思われますが、一部の投資家に投資口が集中し、個人が減少することで株価が上昇するという構図はJREIT市場の脆弱性を加速します。
JREITの原点であるインカム型の長期投資商品ということから考えると、無闇に株価が上昇せず、投資家層も幅広く分布しているのが理想ですが、現実はその逆になっているとも言えます。
一方、一部の新興銘柄では、JREITを株式と同じ感覚でとらえて、取り敢えず目先の株価を上昇させることだけを目論むという手法を持ち込んでいるところもあります。
こういう銘柄は、3年後、5年後のことは考えていないとも思われますが、それでも株価は思惑通り上昇しています。
これは、JREITを理解していない銘柄とJREITの商品性に無頓着な投資家によって株価が形成されているためだとも言えます。
JREIT創設当初からの投資家にとっては嘆かわしい状況だとは思いますが、このような過程はかつて米国REITでも起こったと言われています。 短期投資家の参入によってREITの株価が乱高下し、その状況によって本来の投資家が離れて行き、そして宴の後の低迷期に入った後で、ようやくREITの商品性を理解されてREIT投資が再び始まるというプロセスです。
JREITも同じような状況になりつつありますから、恐らく今年は宴と宴の後を経験することになりそうです。
かつての不動産バブルの時もそうでしたが、バブルだと分かっていても止めようはありません。 この時に学習したことは、バブル後に備えたシナリオを考え、それを適宜実行することです。
この意味でも、JREIT投資家も銘柄も、そろそろ宴の後に備える準備が必要ではないかと言えます。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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