2024-04-02
1. 直近のJ-REIT価格動向
J-REIT価格は1月中旬から続いた続落の動きに一旦終止符を打った形になった。東証REIT指数は3月13日の1,667ポイントから急速に反発し、3月21日には1月30日以来となる1,800ポイント台を回復した。
上昇を続けていた株式市場では、日経平均株価が4万円台に到達し、上昇の勢いが落ちたため、割安感の残るJ-REIT市場に投資家の関心が強まったことがJ-REIT価格回復の要因と考えられる。
一方で、J-REIT価格をさらに上昇させるためには外国人投資家の大幅な買い越しが必要となるが、米国10年債利回りは4.2%程度と高い水準が続いている。従ってJ-REIT価格が続伸するという動きには期待できない状態だ。
2. 物流系の大半には利益超過分配金が存在する
前号では東証REIT指数が前述の1,667ポイントまで下落していた時であったため、J-REITは割安感が強いと解説していた。
その後J-REIT価格は反発しているが、物流施設特化型9銘柄のうちラサールロジポート投資法人(3466)(4.57%※)、CREロジスティクスファンド投資法人(3487)(4.81%※)、アドバンス・ロジスティクス投資法人(3493)(4.62%※)、SOSiLA物流リート投資法人(2979)(4.45%※)の4銘柄が市場平均の4.38%より高い利回りとなっており割安感は残っている。
物流系は借入金比率が低い銘柄が多いセクターであり、投資妙味が高いが、投資する上での注意点として、まず大半の銘柄が利益超過分配を行っていることが挙げられる。
利益超過分配とは、会計上の費用である減価償却費を減資として行う分配のことだ。減価償却費が資金支出を伴わない会計上の費用であり、その一部を投資家に還元している。物流特化型では日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)を除く銘柄が利益超過分配を継続的に行っている。
注意すべき点は、利益超過分配を増減させることで、分配金が増加(または安定)しているように見えることだ。一時的に利益ベースでの分配金が減少した決算期に、利益超過分配は増やすことで分配金を安定させることも可能だ。従って、物流系銘柄の投資判断を行う上で、利益ベースでの分配金水準を確認することが重要となる。
3. 規模拡大によるテナント分散が必須
2点目の注意点として、物流施設はテナント分散効果が低い用途であるため、規模拡大が他用途を比較して重要となる点だ。例えばアドバンス・ロジスティクス投資法人は、3月12日に賃貸可能面積の10%弱を占めるテナントが6月30日に退去となることを公表している。次テナントの入居時期によっては収益に大きな影響が出る可能性が生じる状態だ。
このような状態になる可能性があるため、物流系銘柄は規模拡大が必須とも言える銘柄となっている。しかし価格低迷時に増資を伴う規模拡大を行うと、分配金の減少に繋がる。従って、物流系銘柄の投資判断を行う上で過去の増資が価格低迷時に行っていないか、という点を確認することが重要になる。
(※)3月27日時点の分配金利回り
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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