2020-09-03
1. 直近の投資口価格
J-REIT価格は、僅かながらではあるが上昇基調に転じている。東証REIT指数は、7月から8月中旬まで1,650ポイントから1,700ポイントの範囲内で推移していたが、8月18日に6月下旬以来となる1,700ポイント台を回復すると、8月25日には1,745ポイントまで上昇した。
注目すべき点は、用途別に見ると年初来高値を更新する動きが続いていた物流系銘柄の価格がやや軟調になっていることだ。価格上昇に伴い利回りが低下したため、利益確定の動きが強まっていると考えられる。
このように物流系銘柄が反落する中で東証REIT指数が上昇している理由は、コロナ禍がJ-REITに与える影響がかなり明確になってきたためと考えられる。
2. コロナ禍でもオフィス入居の動きは活発
8月中旬以降に決算発表を行った6月/12月決算のオフィス系やオフィス主体型の複合型銘柄の業績予想では、コロナ禍でもオフィスの移転需要が生じていることを示すものとなっている。テレワークの動きなどによるオフィス市場の過度な悲観論が見直されるきっかけになったと考えられる。
例えばオフィス系銘柄である日本ビルファンド投資法人(NBF)やジャパンエクセレント投資法人(JEI)の2020年6月期の稼働率は、それぞれ99.4%、99.5%と極めて高い水準となった。
オフィスビルの場合、テナントは通常解約を6ヶ月前に貸主に通告する必要がある。従ってコロナ禍に伴う解約の影響は、次期以降に及ぶこととなる。
NBFではテナントの退去が2021年6月期に3.4%、JEIでは2.8%発生する見込みとしている。直近の2年平均の退去率は、NBFが1.8%弱、JEIが1.4%弱であることと比較すると、テナント退去が大幅に発生することになる。
しかし2021年6月期の想定稼働率は、NBF、JEIともに98%程度を見込んでいる。稼働率が大幅に低下しない理由は、テナントの入居の動きも生じているためだ。
3. リーマンショック時との大きな違い
更に現状がリーマンショック時と大きく違う点として、金融危機ではないことが挙げられる。
稼働率と賃料単価の下落が続くという点では、コロナ禍もリーマンショック時と同様の影響を受けることになりそうだ。
しかしNBFの分配金は2020年6月期実績が10,986円であったが、稼働率が低下する2021年6月期は11,000円と増配を予想している。分配金が賃貸収益に連動して減少しない理由は、2021年6月期に物件売却益が1口当たり700円寄与しているためだ。
この点も少し見方を変えれば、分配金の安定要素と考えられる。リーマンショック後とは異なり、不動産の買い手に融資が付く状態であることを示しているためだ。つまりオフィス系銘柄は、含み益の実現化という手法も採れる状態であるため、リーマンショック後のような大幅な減配となる可能性が低くなっている。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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