2019-04-12
1. 実績分配金は順調な増加傾向
前号「J-REIT価格の先行きについて」では、J-REITの価格は分配金利回りから見れば上昇余地があるが、外国人投資家への依存度が極めて高く、市場動向によっては急落する可能性を指摘した。
一方で、分配金利回りを支える分配金は順調な増加基調を続けている。
1年程度の短い期間で見ても、同じ分配金利回りが4.0%の時の東証REIT指数は2018年2月1日に1,739ポイントであったのに対し2019年2月28日は1,850ポイントとなっている。高い価格水準になっても利回りが同じということは、分配金が増加していることを示している。
具体的に増配率を見ると、図表1の通り、順調な増加基調となっている。
一時的に2018年上期(1月期から6月期)に減速した形になっている理由は、2017年上期に物件売却益を計上した銘柄が多かったからだ。売却益や売却損などの特殊要因を除外するために、増配率の中央値を使用しているが、それでも多くの銘柄が売却益を計上した影響が2017年上期に生じている。
増配率の5年平均で見ると2018年下期に4.2%になっている。言い換えれば、2014年上期からJ-REIT投資を行っていた投資家は、分配金が毎年4.2%増加していることを示している。
2. 今後の分配金の見込み
東京だけでなく、大阪や名古屋などの主要都市で空室率が2%以下となっているオフィスなど、郊外型商業施設を除けばJ-REITが投資している用途は堅調な賃貸市況となっている。従って賃貸収益の増加による増配基調は2019年も続くと考えられる。
但し、図表1の増配率は、売却益や賃貸市況だけで実現したものではない。売却益はその期の増配率を押し上げる効果はあるが、次期以降の減配要因にもなる。また賃貸市況は好調であるが、家賃を毎年5%近く押し上げるだけの勢いはない。
多くの銘柄において増配の主要因は、金融緩和下での借入金の借換えによる支払利息の減少であった。
2018年末以降の長期金利の低下が、2019年の増配基調を支えるものとなりそうだ。2018年に返済期限が到来したJ-REIT各銘柄の固定金利借入金の平均金利は0.91%であり、借換えなどにより調達した金利は0.56%であった。同額での借換えとなっていないが、単純化すれば0.35%分支払利息が減少し、その分が分配金の増加要因となった。
同様に2019年に返済期限が到来する借入金の平均金利は0.8%となっている。2018年と比較して0.1%程度低い金利になっているが、図表2の通り、2019年に入っての長期金利は2018年と比較すると0.1%程度低くなっている。
つまり2019年の借換えによる分配金の増加効果は、長期金利が現状と同様の水準で推移すれば2018年と同じ程度は期待することができそうだ。
従って分配金の安定性や成長性に注目する投資家であれば、2019年も安心して投資することができる環境が続くことになりそうだ。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
1 | サムティ・レジ | +2.62% |
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2 | ヘルスケア&メディカル | +1.69% |
3 | 東海道リート | +1.60% |
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