2018-05-11
今回は、5月1日に合併した積水ハウス・リート投資法人(SHR)について記載してます。
1. 本合併の概要と背景
SHRは、積水ハウスをスポンサーとする銘柄です。合併前のSHR(旧SHR)は、オフィスを主体とした総合型の銘柄であり、被合併銘柄となった積水ハウス・レジデンシャル投資法人(SHI)は商業施設を1物件保有していましたが、実質的には住居特化型でした。
旧SHRとSHIはともに資産規模が2,000億円をやや超える銘柄であり、合併と併せてSHIが保有していた住居12物件の売却と6物件の取得後に、資産規模は4,400億円弱となりました。
SHRのポートフォリオは、用途比率で見ると住居の54%程度とオフィスの42%程度が中核となります。
合併比率は旧SHR:1=SHI:0.825となったため、SHRは投資口を2分割しSHIの投資家の保有分が最低でも1口以下になることを回避しました。
本合併の背景として、世界的に機関投資家の投資スタイルがパッシブ化していることを挙げています(※1)。投資家は運用コストが低廉な指数連動型への投資が主流になっているため、本合併によって時価総額を大きくすることで指数に占めるウエイトを高くする効果を図るというものです。
2. 本合併による投資家のメリットとは?
本合併による投資家のメリットは、まずは1口当たり分配金が増加する点が挙げられます。
合併日に公表された業績予想では、合併期にあたる2018年10月期(第8期)に1,324円、2019年4月期(第9期)の予想分配金は1,496円となっています。
第9期の予想分配金1,496円は、合併公表前の旧SHRの2018年10月期1,340円(分割調整後)及びSHIの2018年9月期の予想分配金1,333円(合併分割調整後)に対して共に10%以上増加するものとなっています。
第8期の予想分配金は僅かながら合併前より減少するかたちになっていますがこの決算期は合併報酬が発生することが主要因です。
また第8期の業績予想には、合併日に行った12物件の売却益18億円弱が含まれていません。
この物件売却は、合併前の時点で契約締結済であり、SHIの保有資産であったため、税務上では売却益となりますが、会計上では売却益が発生しないという「税会不一致」が発生しています。
この売却だけではなく、その他にも合併時には税会不一致が発生し未確定な部分があるため業績予想には織込まないものとしています。
但し、売却益は投資家に分配する方針を示していますので、第8期の予想分配金は大幅な上方修正になると考えられます。
更に旧SHRの時点から保有する投資家からみれば、本合併はポートフォリオ分散効果が高くなるというメリットもあります。
旧SHRは、資産規模が2,000億円を超えていましたが、大型物件が多く6物件だけで構成されていたため、分散効果が低い状況でした。
通常オフィス系銘柄が合併した場合には、オフィス市況が好調な時には収益増加効果が低くなるというデメリットも発生しますが、旧SHRの場合は長期固定賃料の契約が占める割合が高かったため、ポートフォリオ分散効果によるメリットが強く働くかたちになっています。
SHRの投資口価格は、2018年4月期の分配落ちの影響もあり前月末からやや下落基調となっています。
しかし上記の通り投資家にとってメリットのある合併であり、分配金利回りも4%を超える水準になっていることから、割安感があると考えられます。
一方で、合併によるデメリットも考えられますので、その点については次回記載したいと考えています。
※1: 2018年1月24日付「合併説明会資料」に拠る
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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