スマートフォン版を表示

マーケットコラム

賃貸市場の整備とレジデンスセクター/REITアナリスト 山崎成人

2010-07-09

REITアナリスト 山崎成人


 日本賃貸住宅管理協会が「めやす賃料表示制度」の導入を行い、借主が比較し易いようにして紛争防止と公平な競争を促すようにするとのことです。
賃貸市場の透明化と公平な競争はREITにとっても必要不可欠です。 REITは、稼働率や平均賃料を公表し、賃貸収支の内訳まで開示していますから、貸主としては最も透明化の進んだ主体ですが、テナントに対する働きかけは賃貸斡旋業者に頼っている為に、賃貸市場の整備にまでは至っていません。
元々、REITの保有物件は賃貸市場では質の高い物件ですから、本来は透明性を高めてテナントにアピールするべきなのです。
その為には、賃貸情報の出し方を整備して、比較し易いようにすることですが、更にはREIT間で協調して統一フォームを作成する事も必要になります。

やや古い話になりますが、昭和40年代の分譲マンション市場でも同じような状況がありました。各社がバラバラな形式で情報を出していた為に、購入者が比較することが出来ない状況が続いていました。
その頃、リクルートが「住宅情報」という雑誌を創刊したので、読者がそれぞれの物件を比較出来るようにすることを勧めました。そして、物件比較情報の項目を作り、どのベージにも共通して掲載するように提案しました。当時、リクルートは不動産の知識がありませんでしたから、これらのデータを作成して渡しました。
その後、この雑誌は隆盛を極めて分譲マンション市場の活性化に大きく寄与しましたが、このように情報の整理・整備は市場活性化には不可欠です。

REITのクライアントとは、投資家とテナントですから投資家に対する情報開示だけでなく、テナントに対しても同様に意を砕くべきです。
その為には、「めやす賃料」の表示だけでなく、敷金の返還規定も明確にすることも必要ですし、地域によって異なる慣行も平準化すべきです。
現在、REITのレジデンスセクターは今一つ元気はありませんが、こういう市場整備に向けて結束する事も必要だと思いますので、レジデンスセクターの最大銘柄であるアドバンス・レジデンス投資法人あたりが音頭を取ってREIT間の協調体制を構築出来ないものかと思います。



マーケットコラム バックナンバー
2024/11/15
トランプ大統領の再選がJ-REIT市場に与える影響/アイビー総研 関 大介 【関 大介】  
2024/11/01
「売られすぎ」のJ-REIT価格/アイビー総研 関 大介 【関 大介】  
2024/10/15
2024年度上半期の価格動向/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
2024/09/27
米国の利下げとJ-REIT価格への影響/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
2024/09/13
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の合併について(2)/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
  • PR

  • PR

決算発表動画
物件取得価格ランキング
1 新宿三井ビルディング 1,700億円
2 飯田橋グラン・ブルーム 1,389億円
3 六本木ヒルズ森タワー 1,154億円
4 汐留ビルディング 1,069億円
5 東京汐留ビルディング 825億円
株価値上り率ランキング
1 ジャパンリアル +3.47%
2 日本プロロジス +2.98%
3 オリックス不動産 +1.70%
* 当サイトはJ-REIT(不動産投資信託)の情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としておりません。
* 当サイトの情報には万全を期しておりますがその内容を保証するものではなくまた予告なしに内容が変わる(変更・削除)することがあります。
* 当サイトの情報については、利用者の責任の下に行うこととし、当社はこれに係わる一切の責任を負うものではありません。
* 当サイトに記載されている情報の著作権は当社に帰属します。当該情報の無断での使用(転用・複製等)を禁じます。