2017年07月10日

第2部「REITキーマンに聞く!」サムティアセットマネジメント株式会社 川本 哲郎氏

今回は、サムティアセットマネジメント株式会社 川本 哲郎氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。

サムティアセットマネジメント株式会社 川本 哲郎氏

――財政面では、継続的な利益超過分配の実施も貴投資法人の特徴だと思いますが、これに対する投資家の反応は如何でしょうか。

当投資法人が利益超過分配を継続的に行っているのは、余剰な資金は手元に置いておくよりも投資家の皆様に還元し、新たに資金が必要になった場合は投資家の皆様や銀行の皆様等に事情を説明して増資や借入に応じて頂く、これが最も透明性の高い資金政策だと考えているからです。
こうした当投資法人の方針に対する投資家の皆様の評価は2つに分かれます。
1つは海外投資家や個人投資家の皆様を中心とした「分かりやすい資金政策でいいじゃないか」、「投資主還元に積極的でいいじゃないか」という好意的な評価です。
もう1つは国内の機関投資家の皆様を中心とした「会計処理の煩雑性が増す」、「できれば還元よりも再投資に回してほしい」というややネガティブな評価です。
現時点で当投資法人の投資口保有状況は個人投資家の皆様で大半を占めていることもあり、利益超過分配を継続していく方針に変わりありません。
また、将来的には資産規模が成長を続けた場合、利益超過分配の原資である減価償却費が物件購入に回せるほど大きくなることもあると思います。その時には改めて「利益超過分配をどうしよう?」と検討していきたいと考えています。

――運用会社サムティアセットマネジメントの人材面での強み、特色はどういったものがありますでしょうか。

他のJ-REIT運用会社ではスポンサー企業からの出向が人員の多数を占めている例もあるようですが、サムティアセットマネジメントは別の資産運用会社出身やPM会社出身など様々なバックボーンを持つ人々が「J-REITの運用をやりたい」という一念で集まって構成された会社です。
そのため「サムティ・レジデンシャル投資法人を良いREITにしたい」という思いが非常に強いですし、スポンサーであるサムティグループもそれを理解して30歳代の働き盛りや、一線級の人材を出向させてきてくれており、大変感謝しています。
また、投資対象としている物件の1件当たりの価格帯が比較的小さいということもありますので、他のJ-REITに比べると実験的な取組によるノウハウの蓄積やトライ&エラーができやすい環境であるということも人材育成面での一つの強みだと考えています。

――これまでのお話と重なる部分もあろうかと思いますが、今後の成長戦略のお話を伺いたいと思います。最初に外部成長についてお願いしてもよろしいでしょうか。

J-REITとして外部成長というのは宿命ですし、収益の安定性という面から見て中期的に資産規模1,000億円、さらには2,000億円を目指していきたいと考えています。
その意味でスポンサーからのパイプラインが充実しているのはありがたいですし、2年半のトラックレコードを積み重ねてきたことで地方の業者様からも「まずはサムティ・レジデンシャル投資法人に取得を持ちかけてみよう」という認知が高まってきたのは追い風だと考えています。
一方で物件取得資金を調達するためには投資家の皆様の信任を得ることが非常に重要ですから、猪突猛進的に「資産規模1,000億円到達」を目指すよりは、腰を据えて投資方針や物件取得への投資家の皆様の理解・共感を深めるべきとも考えています。

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