2021-09-10
1. 直近の価格動向
今回はJ-REIT価格の動向を左右する要素が増えてきたため、J-REIT全体の直近の価格動向に触れることとする。
7月以降の直近2ヶ月間の価格を振り返ると、2月から続いていた上昇基調から停滞状態に変化している。その理由として、東証REIT指数は7月6日に2,186ポイントまで上昇したことが挙げられる。この指数値は2020年3月のコロナショック後の高値を更新しただけでなく、2019年11月につけたリーマンショック後の高値2,257ポイントに近づく水準になっている。
コロナ禍によって多くの用途が悪影響を受けていることを考慮すれば、利益確定の動きによって価格が停滞する水準まで既に上昇していると考えられる。
2. 株式市場上昇がJ-REIT価格に与える影響
更に株式市場での価格上昇の動きによって、J-REIT価格の停滞状態が続く可能性も出てきている。
東証REIT指数は、2020年6月から2020年末まで1,750ポイントを中心とするボックス圏での推移が続いていた。この背景にはコロナ禍が賃貸市場に与える悪影響だけでなく、株式市場が2020年10月から大幅に上昇したことがあると考えられる。投資資金が株式市場に大幅に流入した結果、J-REIT価格が上昇する余地がなくなっていたためだ。
直近の日経平均株価を見ると、終値ベースで9月8日に2月以来となる3万円台を回復した。この価格上昇をもたらした首相交代と新たな経済対策への期待については、衆議院議員総選挙の結果が判明するまでは少なくとも持続する可能性が高い。従って、J-REIT価格は2020年秋以降と同様に当面は停滞を余儀なくされることになりそうだ。
またコロナ禍が長期化している影響は、賃貸市場にも影を落としている。
最も悪影響を受けているホテル系銘柄では、業績予想の下方修正などの動きが続いている。8月25日に業績予想を公表したインヴィンシブル投資法人(8963)とジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)は、ともに12月期の業績予想を未定としている。
またJ-REITの主力とも言えるオフィス系銘柄でも、オフィス市場回復時期の見通しが遅くなるとしている銘柄が多くなっている。
8月18日に業績予想を公表した日本ビルファンド投資法人(8951)は賃貸収益のボトムをこれまでの2021年12月期から2022年6月期に変更している。2022年6月期の予想分配金は12,500円と上場来の最高額を更新する見込みとしているが、物件売却益の恩恵が大きく賃貸収益ベースでの分配金は1万円を割り込む予想となっている。
このような点から考慮すれば、短期的にはコロナ禍による賃貸収益への懸念が少ない物流系銘柄や住居系銘柄の価格上昇余地はあるものの、市場全体として価格上昇が起きる要素は少ないと考えられる。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
1 | サムティ・レジ | +2.62% |
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2 | ヘルスケア&メディカル | +1.69% |
3 | 東海道リート | +1.60% |
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