2014-11-06
J-REITの価格は、10月31日に日銀が公表した追加金融緩和策を好感し上昇しています。東証REIT指数は、追加緩和前30日の1,657.58ポイントから31日に1,716.55ポイントとなりました。
リーマンショック後の最高値は2013年3月につけた1,700.91ポイントとなっていましたので、追加緩和の公表で高値を更新したかたちになりました。その後は、11月4日の取引時間中に1,800ポイントを超える局面もありましたが、利益確定売りにより東証REIT指数は、11月5日に1,708.65ポイントまで下落しています。
なお5日に上場した日本ヘルスケア投資法人(証券コード3308)の初値は222,200円と公募価格15万円に対し50%近い値上がりとなりました。J-REIT初めてのヘルスケア銘柄ということで注目が高かったことと日銀の追加緩和が奏功したと考えられます。
このように日銀の追加緩和は、J-REIT市場に与える影響が大きくなっていますので、今回は追加緩和の影響について分析します。
日銀のJ-REITに関する追加緩和は、J-REITを年額900億円のペースで購入していくというものです。黒田日銀総裁が就任して最初に行った2013年4月の金融緩和は、2013年と2014年にJ-REITを年間300億円購入するというものでした。当初は月平均25億円ペースでの取得ですが、今回の追加緩和で月平均75億円のペースとなりました。追加緩和公表に伴い11月から月平均75億円の取得ペースとなりましたので、2014年の購入枠は100億円(75億円-25億円の2ヶ月分)増加しています。
年額900億円という金額は、2010年10月に日銀がJ-REIT買入れを公表してから購入枠の設定としては最大規模のものとなりました。今までは、買入れ公表時と東日本大震災時の500億円が最大でした。J-REITの価格が堅調な中で公表されたという点と追加緩和がインフレ率2%を達成するまでとして期限を定めていない点を併せて見ると、追加緩和こそJ-REIT市場にとっては「異次元」の金融緩和と言えるでしょう。
一方で、J-REITの価格は株式市場ほどの上昇を示していません。今回の追加緩和が円安を誘引するものだったことから株式市場が先行して上昇する値動きは当然のものと見るべきでしょう。J-REITの価格は、急激な上昇相場となっていないことで、今後も当面は順調な値動きが期待できそうです。
その要因として、金融機関のJ-REIT購入が進む可能性が高い点が挙げられます。追加緩和により日銀は国債の大半を購入することになりました。これにより長期国債が極めて低い利回り水準で推移することになりそうです。金融機関が、比較的利回りの高い投資商品としてJ-REITの購入を拡大する余地が大きくなっているのです。
なお、追加緩和では、日銀が投資対象とする銘柄の選定基準である「AA格以上(※1)」、「各銘柄の5%以内(※2)」という点は変更されていません。但し、日銀がREIT買入れを開始した2010年12月から「AA格」以上の銘柄の取得を日銀が進めていたことや追加緩和が少なくとも2年以上にわたるものなることから前述の基準のどちらかは緩和されることになりそうです。
また「AA格」銘柄の価格が上昇すれば、その他銘柄の割安感が生じるため格付けにかかわらず価格上昇することが考えられます。
このように追加緩和は、J-REITの価格という面ではプラス材料が多いものと言えます。但し、1口当たり分配金の成長や新規上場銘柄に与える影響という面では懸念材料が多いものでもあります。この点については次回で記載する予定です。
※1:AA格相当でありAA-も含まれる。また格付け機関の限定はされていないため、金融庁の登録を受けている格付け会社(信用格付業者)によるAA相当の格付けが附されていれば日銀の投資対象となる。
※2:発行済投資口数の5%以内という条件。
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1 | 新宿三井ビルディング | 1,700億円 |
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
1 | サムティ・レジ | +1.45% |
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2 | いちごホテル | +0.75% |
3 | 日本ホテル&レジデンシャル | +0.71% |
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