2008-06-20
プロスペクト・レジデンシャル投資法人の資産運用会社であるプロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズ(株)が、証券取引等監視委員会(SESC)の検査の結果、処分勧告を受けることになりました。
SESCのREITに対する検査はここ1~2年活発に行われていて、今回のプロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズの処分勧告も昨年の12月の臨店検査によって判明した事実だと思われます。
内容的には、鑑定評価額の意図的操作があったという事ですが、SESCが、不動産業界で半ば慣行的に行われていた鑑定評価額の誘導行為の事実を摘発出来たという事は、REITの今後にとって良かったことだと思います。
資産運用会社が何らかの理由で不動産を高値で買おうとする場合の技術的障害は不動産鑑定評価にありますので、評価額を買値に少しでも近づけようと意図します。
その結果、不動産鑑定業者を数社入れたり、新たな鑑定業者を起用したりしています。
このような事は他銘柄でも見られますから、今回の処分勧告はプロスペクト・レジデンシャル・アドバイザーズに行き過ぎがあったのと、一罰百戒の意味もあったのでは思われます。
REITという仕組は、投資家のお金を使って不動産を取得するのですから、取得価格の妥当性・合理性は資産運用会社にとって最も注意しなければならない点です。
その意味では、鑑定評価額さえ辻褄が合えば良いという訳でもなく、取得価格について資産運用会社が客観的合理性のある説明が出来なければなりません。
この点について、以前にいくつかの銘柄と話したことがありましたが、必ずしも鑑定評価額に準拠した取得を行う訳ではないという資産運用会社や、自分達の価格に対する考え方を鑑定会社に伝えているという銘柄もありました。
本来であれば、不動産鑑定士より資産運用会社の方が、遥かに不動産価格の合理性・妥当性を見抜く力があるはずですので、本質的には不動産鑑定評価は「蛇足」という事になりますが、現在のREITでは、他に参考となる材料がない為に利用されているに過ぎません。
更に言えば、個々の不動産を鑑定価格で取得したからといって、REITとして優れているとも言えません。
REITはポートフォリオ全体で配当を行う仕組みですので、安定と成長をどのようにバランスさせるかという点を考慮しながらポートフォリオを積み上げますから、この考え方は不動産鑑定評価でカバー出来る範囲ではありません。
このように考えると、今回の処分勧告は、単に鑑定評価依頼の過程での妥当性を欠いたというプロスペクト・レジデンシャル投資法人の粗雑さが原因だと言えます。
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2 | 飯田橋グラン・ブルーム | 1,389億円 |
3 | 六本木ヒルズ森タワー | 1,154億円 |
4 | 汐留ビルディング | 1,069億円 |
5 | 東京汐留ビルディング | 825億円 |
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