2020年02月18日

平和不動産リート投資法人

FISCO REIT REPORT

平和RE Research Memo(4):分配金は8期連続でスポンサー変更後の最高値を更新

■業績動向

1. 成長の軌跡
平和不動産リート投資法人の決算期は5月と11月の年2回である。2009年9月に平和不動産が単独スポンサーとなって以降、2019年11月期に10周年を迎えた。その間、2011年5月期までの「成長基盤の再構築」、2011年11月期から2013年5月期までの「再成長軌道への回帰」を経て、2013年11月期からは「安定成長軌道」の段階にあると定義付ける。すなわち、現在は安定した資金調達による本格的な成長フェーズであり、着実な外部成長及び内部成長によって分配金向上を目指して、優良なオフィスとレジデンスの双方に厳選投資している。この結果、2009年11月期の物件数46件、資産規模921億円、分配金734円/口から、2019年11月期には物件数104件、資産規模1,747億円、分配金2,500円/口へと大きな成長を遂げている。目標分配金2,500円を2期前倒しで達成し、今後は更なる成長を目指すステージに入った。

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2. 2019年11月期の業績概要
2019年11月期における国内経済は、大型台風の襲来など相次ぐ自然災害や海外経済の減速の影響がみられるものの、引き続き企業収益の改善に伴う設備投資の増加や雇用・所得環境の改善が継続し、全体としては緩やかな回復基調を維持した。2019年10月からの消費税増税の影響については、駆け込み需要の反動による落ち込みは前回増税時ほど深刻ではなく限定的であり、外需の持ち直しと内需の底堅さに支えられ、緩やかな景気回復が続くと見られている。

このような環境下、同REITの2019年11月期(第36期)決算は、営業収益6,328百万円(前期比0.9%減)、営業利益2,967百万円(同2.3%減)、経常利益2,507百万円(同2.8%減)、当期純利益2,506百万円(同2.8%減)の減収減益であった。不動産譲渡益の減少が減収減益の主因であったが、他方で予想していなかった譲渡益の計上があり、2019年7月17日発表の期初予想をすべて上回った。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には、法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。

譲渡益等の一時的要因を除く賃貸収益ベースでは、1口当たり当期純利益は前期比22円増と好調であったことから、分配金を2,500円/口と同75円増とし、8期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。なお、譲渡益の一部は分配金に充当するが、残額は内部留保することで将来の分配金支払い等の原資として活用する方針である。

ポートフォリオ全体の期中平均稼働率は97.83%と、高水準を維持した。オフィスの期中平均稼働率が99.67%と過去最高値を更新し、レジデンスの期中平均稼働率も96.79%と非繁忙期(レジデンスでは5月期は3月・4月を含む繁忙期となるが、11月期は非繁忙期)としては過去2番目となる高い水準を記録した。また、稼働率の高位安定、賃料改定の進展などで営業収益に加えて、NOI利回り(実質利回りとも言う、(賃貸事業収入?賃貸事業費用)(年換算)/期中平均帳簿価額×100で計算)は5.36%と、高い水準を維持した。

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3. 財政状態
2019年11月期の財政状態は、総資産185,927百万円(前期末比0.2%増)、純資産95,647百万円(同0.2%増)、有利子負債82,467百万円(同増減なし)であった。2019年11月期のファイナンス・コストは0.569%と既存の調達コストを下回り、平均調達金利は0.855%と低水準を維持した。また、有利子負債の平均調達年数を6.91年から7.09年へと長期化している。今後も、主要金融機関との良好な関係のもと、比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、緩やかな調達コストの低下が見込まれる。長期借入金固定化比率を89.7%として、将来の金利上昇リスクに備えている。さらに、鑑定LTV比率(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)は40.1%と良好な水準を維持している。同REITでは、同比率40~50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率の低下が続いており、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能になっている。

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(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

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