FISCO REIT REPORT
2. 2017年7月期(第4期)の業績
サムティ・レジデンシャル投資法人の2017年7月期(2017年2月1日−2017年7月31日)の業績は、物件取得による外部成長がなかったものの、着実な内部成長により、営業収益が1,840百万円(2017年1月期比1.9%増)、営業利益が759百万円(同10.7%減)、経常利益が614百万円(同1.4%増)、当期純利益が613百万円(同1.4%増)となり、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)が2,670円と2017年1月期比25円増加した。また、業績予想に対しても、営業収益が計画比42百万円増、営業利益が同13百万円増、経常利益が同18百万円増、当期純利益が同18百万円増、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)が同45円増とそれぞれ計画を上回っており、順調な運用成果を残したと評価できる。
業績予想(計画)との差異要因は以下のとおりである。
営業収益は、稼働率及び賃料収入が好調に推移したこと(計画比6百万円増)に加えて、その他収入(礼金収入、更新料収入、原状回復収入等)の増加(同35百万円増)が計画を上回る要因(営業収益全体の計画比は42百万円増)となった。なお、期中平均稼働率は96.4%(計画は95.5%)と高い水準を維持するとともに、調整後賃料単価についても着実な向上※を図ることができた。特筆すべきは、礼金収入及び更新料収入の収受による上振れである。地方では必ずしも根付いていない制度であるが物件の魅力向上や効果的なリーシング活動等により、収受件数が増えてきつつあるようだ。
※ 2017年7月期末の調整後賃料単価(礼金収入を含む)は、前期末(2017年1月期末)と比較して約0.4ポイントの上昇となっている。
一方、営業費用についても、水道光熱費等(計画比5百万円減)を計画より低く抑えたものの、バリューアップ工事等の先行投資を積極的に行ったことに伴う修繕費の増加(計画比35百万円増)により計画を上回った(営業費用全体の計画比は29百万円増)。費用増加要因となったバリューアップ工事等については今後の損益改善に向けて余力をつくる効果があることから、同社にとっては意図した展開と言っていいだろう。
営業外損益については、基準金利上昇リスクを保守的に見ていたが、金利上昇がなかったため、支払利息減等により計画比4百万円増(プラス要因)となった。
以上から、2017年7月期の業績を総括すると、外部成長(物件取得)はなかったものの、着実な内部成長により前期及び計画を上回る「1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)」を実現したこと、今後の内部成長に向けた先行投資(バリューアップ工事等)の充実を図ることができたことなどが評価すべきポイントと言える。
3. 財務状況
2017年7月末の財務状況に大きな変化はなかった。総資産は55,525百万円(前期末比0.5%減)、純資産も26,262百万円(同0.5%減)とともにほぼ横ばいで推移し、自己資本比率は47.3%(前期末も47.3%)と同水準を維持した。また、有利子負債も28,600百万円(同0.5%減)、総資産LTVも51.5%(前期末も51.5%)と横ばいで推移しており、財務基盤の安定性や今後の資金調達力に懸念はない。
4. 2018年1月期(第5期)以降の業績見通し
2018年1月期(2017年8月1日−2018年1月31日)の業績予想については、営業収益を1,826百万円(2017年7月期比0.8%減)、営業利益を778百万円(同2.6%増)、経常利益を615百万円(同0.0%増)、当期純利益を614百万円(同0.0%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)を2,670円と2017年7月期と同水準を見込んでいる。期中平均稼働率は95.5%(2017年7月期は96.4%)を想定している。
また、2018年7月期(2018年2月1日−2018年7月31日)の業績予想についても、営業収益を1,842百万円(2018年1月期比0.9%増)、営業利益を794百万円(同2.0%増)、経常利益を615百万円(同0.0%増)、当期純利益を614百万円(同0.0%増)、1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)を2,670円と見込んでおり、2期連続で当期純利益及び1口当たり分配金(利益超過分配金を含む)は横ばいで推移する見通しである。期中平均稼働率は95.5%を想定している。
弊社では、前提条件に合理性があることや安定的なキャッシュフローから判断して、業績予想の達成は十分に可能とみている。むしろ、2017年7月期と同様、賃料収入やコスト削減などによりどれだけ業績の上乗せできるかがポイントになるだろう。また、パイプラインが十分に積み上がっていることから、新規物件の取得のタイミングによって前提条件が大きく変化する可能性にも注意が必要である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
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