2018年12月13日

「REITキーマンに聞く!」 さくら不動産投資顧問株式会社 投資運用部長 田口 嘉邦氏

今回は、さくら不動産投資顧問株式会社 投資運用部長 田口 嘉邦氏に業界動向やファンドの特徴に関してインタビュー形式でお話していただきました。

さくら不動産投資顧問株式会社 投資運用部長 田口 嘉邦氏

――今後の物件取得について戦略や方針、目標についてお聞かせください。

今後の外部成長戦略については、まず、現ポートフォリオの拡充策として、オフィスビルを中心とする収益性アセットを積極的に投資していくとともに、住宅及び商業施設を中心とする安定性アセットにも投資していくことにより、ポートフォリオの更なる質の向上を図っていきたいと考えています。
資産規模としては、2021年末までに概ね1,000億円から1,500億円の水準まで拡大することを目標としています。
これは年間あたり約150億円から300億円の物件を新たに取得していくペースですが、各セクターにおける“ミドル・スモール物件(概ね10億円から30億円程度の物件)”の取得機会をより充実させること、そして東京圏での100億円規模物件、ホテルや物流施設といった多様な資産を利回りに留意しながら一定程度組み入れていくことで当該目標の達成は可能という見通しです。
また、こうした外部成長を支えていくためにはブリッジ機能の強化が必要とも考えており、複数の金融機関、事業会社、リース会社及びファンド会社との間で中長期的な業務提携も視野に入れたブリッジファンド事業に関する協議を行っています。
J-REITがスポンサーから物件を直接取得する場合、どうしても利益相反の可能性が出てきてしまいます。
ですが、そこにスポンサーとの取引に第三者である外部企業と組成したブリッジファンドを挟んだり、或いは外部のデベロッパーが開発した新築物件にもブリッジファンドを通じて積極的に手を伸ばせる状態にすることで、物件の取得タイミングの調整のみならず、物件取得に係る透明性をより高くすることが可能となります。
これは最近とみに注目の高まっているガバナンスという点でもプラスに作用するのではないでしょうか。

――もともとはオーストラリア・リートとして発足したさくら総合リート投資法人ですが、将来的に海外不動産、特にオーストラリアでの物件取得は考えられてますでしょうか。

現時点では考えておりません。
やはり資産規模1,000億円~1,500億円を実現するまでは、国内物件の着実な取得にリソースを割り振っていく方針です。

――稼働率の状況や保有物件の賃料動向、収益性向上の取組みといった内部成長についてお話し下さい。

Jリートでの上場後、内部成長に関しては、スポンサーの一社である日本管財グループと協働して、オフィスを中心に特に力を入れてきました。
具体的には、テナント入替時における、新規のマーケット賃料水準でのリースアップによる賃料増加のみならず、既存テナントの賃料増額交渉も根気強く行って参りました。
その結果、第1期から現在まで、平均して概ね110%から115%の賃料増額を達成できています。
また、賃料の底上げに繋げる様々なバリューアップ策も講じています。
具体的には、オフィスビルでの「エレベーター改修工事」及び「共用部における照明のLED化」、商業施設での「共用スペースの有効活用(倉庫による賃貸)」及び携帯電話アンテナの設置、住宅における外壁改修工事によるファサードのグレードアップ等を実施しています。
また、コスト削減にも力を入れており、電力会社の変更やビル管理サービスの見直し及び管理費用の合理的削減等を実施することにより、物件純収益の底上げを図っています。
加えて稼働率につきましても、Jリート上場以降、概ね98%以上の高水準を維持しており、高パフォーマンスを維持できているという認識です。

――LTVの水準について、現在の46%台から上げていく方向で考えているのか、それとも下げていく方向で考えているのか、お聞かせください。

基本的には45%から50%の水準を安定的に維持していく方針です。
なお、公募増資を伴わない物件取得が必要な場合は、この範囲内で機動的に対応することも検討していきます。

――当初2月、8月だった決算月を6月、12月に変更した狙い、効果についてお話し下さい。

狙いは、公募増資のタイミングが他投資法人と重なることを回避するためです。
J-REITの外部成長にあたって公募増資が重要なことは言うまでもありませんが、過去5年間の全ての公募増資のうち、3月及び9月(当初の各決算月の翌月)に行われたものが概ね3分の1となっています。
こうした公募増資ラッシュで埋没してしまうことを避けるため、2018年5月31日に開催された投資主総会にて弊投資法人の決算期を6月及び12月とすることをご提案させて頂き、賛成多数にて可決させて頂きました。

――その他、財務戦略で気を配っている点についてお聞かせ下さい。

前述のとおり、中長期的には金利環境に動きが生じることも考えられますので、借入の長期固定化で将来的な金利上昇リスクをヘッジしていくとともに、返済期限の分散化、より有利な条件でのリファイナンス及び今後の公募増資時における新規借入を実施していく方針です。
加えて、バンクフォーメーションの強化を図るとともに、相応の外部成長を達成した上で、早期の信用格付け取得も実現していきたいと考えています。

――IRで何か力を入れている点や取組み等があればお聞かせください。

第一に、国内機関投資家のみならず、海外投資家に対しても弊投資法人の現状及び将来のアクションプランを丁寧に説明していくことで認知度を一層高めていきたいと考えています。
第二に、保有投資口の過半数を占める個人投資家に対しても、セミナーやイベントを中心に分かり易くかつ丁寧なIR活動を行うことを心がけています。
専門用語の使用を抑えた平易な説明を通じ、Jリート投資に興味を持ち始めた個人投資家が実際に投資に乗り出す際の心理的ハードルを少しでも下げていきたいですね。

――本日は、大変お忙しい中ご対応いただき、ありがとうございました。

さくら不動産投資顧問株式会社 投資運用部長 田口 嘉邦氏

今回インタビューにご対応いただきましたさくら不動産投資顧問株式会社 投資運用部長 田口 嘉邦様です。

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