2019年3月18日に開催された「伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人」第1期(2019年1月期)決算説明会の内容を書き起こし記事にてお伝えいたします
当日の決算説明会資料及び決算説明会動画はこちら
各スライドをクリック頂きますと、決算説明会資料の該当ページをご覧いただけます。
東海林 淳一氏
それではお時間になりましたので、説明を始めさせていただきます。伊藤忠リート・マネジメントの東海林でございます。
本日は遅い時間の開始にもかかわらず、伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人の第1期(2019年1月期)の決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。
実績と当初の業績予想について
第1期につきましては、昨年5月1日の投資法人設立から、9月7日の上場以降、本年1月末までとなります。
稼働率100%のなか、融資関連費用・投資口発行関連費用等の減少により、当初業績予想を上回る実績となりました。本投資法人は、利益超過分配を行っておりますが、1口当たり分配金は1,729円と、当初業績予想対比+71円の着地です。
2月25日修正業績予想対比では、▲1円となりましたが、税会不一致による税金増加によるものです。経常利益ベースでは差異ございません。尚、第1期につきましては、取得物件の固都税が費用化されておりません。約65百万円を取得原価に入れております。
今後の成長に向けた第一歩としての取り組み
上場以降、特に年明け以降様々な施策を打ってきております。
今回、ローン調達により、スポンサーである伊藤忠グループより2物件を取得致します。
上場時にアイミッションズパーク(IMP)印西の準共有持分65%を取得しておりますが、今回は、更に持分15%の買増しを行います。更にIMP守谷2も加え、合計49.9億円の新規物件取得となります。
本件借入調達後も、第2期決算期末において39.9%とLTV40%未満を維持します。引き続き、LTVをしっかりと注視していきます。
加えて、上場時には未取得であった長期発行体格付について、JCR様よりA+(安定的)を3月15日に取得しました。今後の資金調達の多様化、投資家層の更なる拡大を企図したものです。
ESG取組についても、保有する5物件についてDBJ Green Building認証を取得しました。内、旗艦物件であるIMP印西は5スター。それ以外も4スターの取得となりました。また、持ち投資口制度の導入も進めており、今後も、投資家様からの評価を頂けるようなESG取組を推進していきます。
第2期取得予定物件の概要
より詳細の定量面については、表のなかの赤枠部分。第2期取得予定物件の詳細をご覧ください。 両物件共に、鑑定評価額よりも割安で取得しております。決して高値買いをしないという上場時と同じ目線で取り組んだ取引だったと思っております。新規物件取得後の鑑定NOI利回りも引き続き5.0%を維持しております。
但し、IMP守谷2については、築古、小規模という部分を気にされた方もいらっしゃるかと思います。当社の投資基準においても、例えば延床面積1万㎡以上を一つの目線として置いており、本物件はその規模以下となります。しかしながら、本物件は既存ポートフォリオのIMP守谷の同一敷地内に位置しており、一体物件として運用できるものと位置付けております。
また、過去からのオーナー様、テナント様による適切なメンテナンスの結果、長期運用に十分耐えられる物件と考えています。築古ではありますが、本物件PMLは7.3%。取得後のポートフォリオPMLは上場時同様2.5%を維持します。引き続き、PML等の指標も留意したうえでの取得を心がけていきます。
第2期及び第3期の業績予想
4月1日に新規物件を取得することを前提として、第2期(2019年7月期)、第3期(2020年1月期)業績予想を作成しております。
本投資法人は、FFOの70%を目途として、減価償却費の30%を上限に利益超過分配を行う方針です。第1期は、上場コスト等が膨らむため、FFOペイアウトレシオも高めとなりましたが、第2期からはFFOの70%に抑えた利益超過分配と致しました。
その結果、一口当たり分配金は、2,262円と当初予想対比+4.0%となります。第3期は2,343円です。
ご留意いただきたい点として、第2期取得物件の固都税が、2期・3期の業績予想には含まれておりません。4期より、約13百万円の費用化が始まります。また、第2期における物件取得効果は、4月からの4か月分と巡行期対比3分の2程度となります。
その他、第2期に関する当初予想との差異としては、IMP印西の固都税が見積もり対比割安だったことによる+11百万円があります。分配金成長については、物件取得に合わせ、4~5%の上昇を目指したいと思っており、今回の取引も方針に沿ったものとなっています。
足許の状況と課題
上場以来、投資口価格は軟調に推移する状況が続いております。年明け以降、回復の傾向も見えてはおりますが、公募価格を下回っている状況は変わっておりません。本投資法人の相対的位置を高めるため、様々な施策に真摯に取り組む必要があると思っております。そこで、本投資法人が現状で抱えていると思われる課題を整理致しました。
本投資法人は、①の通り、まだ規模が小さく流動性が低いという状況です。その状況下において、②の投資家層の投資口数の分布を見ると、2つ特徴が見えてきております。1つ目は、青色の個人投資家様に非常が多く参加して頂いていること。2つ目は、一番右のピンク色の海外投資家様が少ないことです。まずは、既存投資家であります、個人投資家や機関投資家の皆様への丁寧なコミュニケーションに加え、海外投資家様の接点強化が大きな課題であります。
③の通り、ようやく第1期の決算を終えたばかりではありますが、本日のような取組施策の報告を毎期行い、トラックの着実な積上げをしていくことが、私に課せられた使命だと思っております。
これらの課題のなか、右側が分配金利回りの比較です。本投資法人は、平均対比で高めに推移しています。投資口価格は、マーケットからの評価であり、我々の力不足だと真摯に受け止めます。やるべきことをしっかりとやる。発表した施策の深掘りに加え、更なる施策も準備したうえで、投資家様との丁寧なコミュニケーションを心がけ、再評価の俎上に載せて頂ければと思っております。
現状課題と施策
前述した課題をしっかりと認識したうえで、今回の発表施策のようにしっかりと対応していく所存でございます。
基本戦略~差別化ポイントについて~
上場時から説明させていただいた本投資法人の差別化ポイントを改めて載せています。
伊藤忠グループの持っているリソース。不動産・物流プラットフォームと商社・商流プラットフォーム。これらをうまく活用し、本投資法人との間で拡張的協働関係を築いていきたいと思っています。
P12のトピックスとしては、記載のある伊藤忠ロジスティクスが、伊藤忠商事の100%子会社化されました。また、記載はありませんが、食品卸の日本アクセスも100%子会社化されております。
基本戦略~御用聞きについて~
商社ならではの機能を活用する「御用聞き」により、テナントの粘着性を上げていくという取組です。
第1期では、5テナントにお借り頂いているIMP野田のあるテナント様が、繁忙期・閑散期の荷物量の差に困られていた中、リーシングマネジメント業務を委託する伊藤忠商事のサポートの元、物件内のテナント同士での床の融通を実現しました。結果として、両テナント様からは感謝されました。こういったテナント様とのコミュニケーションを通して、役に立つ施策を打っていくということが「御用聞き」であり、我々の仕事だと思っています。
今後の成長戦略
今後の成長戦略を纏めております。
DPUについて、現状マーケットでは、オフィス・住宅が賃料上昇を実現し内部成長を図っていると理解しております。一方、物流の特性であり魅力である点は、長期安定した賃料収入であると認識しています。とはいえ、コスト削減に取り組むことが大事だと考えています。例えば、保有物件の駐車場の一部が未稼働ならば、それを時間貸ししていくことや、共用部の電気代削減。こういったコスト削減を確実に行うことが重要な内部成長施策と考えています。今後も、目配り気配りをして進めていければと思います。
資産規模については、今般、約590億円となりましたが、引き続き流動性の観点を考えれば小さいという認識です。将来への目標として、EPRA/NAREITという指数入りを目指します。但し、高値買いはしない。投資家の皆様のアドバイスをしっかりと聞き、成長スピードのみに縛られすぎず、一方で外部成長をしっかりと行っていくというバランスを強く意識していくことが大事だと考えています。
LTVについても、40~50%を中長期の水準としており、今般、40%至近まで上げております。但し、多くの投資家様のご意見を聞かせていただいた中では、40%台半ばで留めることを強く意識した方が良いというアドバイスを頂いております。従いまして、当面は45%を一つのボーダーとして強く意識していきたいと思っています。
果たすべき使命
上記までの話を、箇条書きに落としたものが本ページです。
最下段、守りの施策の一つとして、自己投資口の取得を挙げています。具体的な実行について決定したものではありませんが、あらゆる施策をしっかりと選択肢の中に入れて、今後も運用していきたいと思います。
外部成長戦略
今後のパイプラインについては、右下に6物件を載せております。市川塩浜は、未だテナントが確定していませんが、需要が強い湾岸エリアであり、引き合いは十分ある状況です。市川塩浜も満床となれば、全てのパイプライン物件の稼働率が100%となります。
物件ポートフォリオ
ここからは物件関連のデータです。
既存物件は16号沿線が多いのに対し、パイプライン物件は更に都心に寄っていることが分かるかと思います。現状は、鑑定NOI利回り5.0%、Actual NOI利回りで5.1%。都心の物件であれば、4%台後半になる可能性もありますが、高値買いをしないという信念をもって冷静に判断していきます。
また、都心に寄ることで土地比率が上がれば、NOI利回り対比で償却後利回りは上がります。償却後利回りも意識しながらパイプライン物件の取得目線を検討していきます。
ポートフォリオの特徴と状況
6つのパイチャートは、上場時にも図示したものと大きくは変わりません。伊藤忠商事のリソースを活用し、左下の通り伊藤忠グループ及びその顧客層からのテナント取り込みを強く意識していきたいと思います。
財務状況
財務については、現在、本ローン約220億円と消費税ローン約27億円を全6行より借入しております。第2期においては、約53億円を借入れる一方、上場時の消費税ローンの返済を予定しております。
物流マーケットについて
最後は物流に関連するマーケットについてです。
関東エリアについては、2019年度の供給は相当数あり一時的な空室率上昇はあり得るものの、2020年度以降、今後も需要・供給のバランスが取れていくと考えています。右側には関東エリアを更に4つのブロックに分けて空室率推移を並べています。本投資法人がターゲットとしている16号線並びに更に都心の物件の空室率は4%以下となっています。不動産賃貸マーケットとしての物流の底堅さがデータからも見えてくるかと思います。
関西エリアについては、湾岸エリアのリーシングが中々進捗しなかった時期もありましたが、足元では徐々にリーシングは進んでいる状況だと考えます。
本投資法人の保有物件テナントは、Eコマース関連が4割超。それ以外も3PL中心です。荷物は増えることはあっても減ることはないと考えています。伊藤忠商事が物件を購入するにあたっては、土地有りきではなくテナント有りきです。物流事業者様にとっての支払賃料は、コスト全体の5~10%程度。それ以外は、運送費・人件費等。経営上の重要課題となった物流拠点の選択においては、配送先との距離感、従業員の雇用のしやすさ等が考慮され、賃料の高低だけで決まる時代ではありません。伊藤忠商事は、テナント候補様のトップから現場まで様々な方とのお付き合いがあります。お客様がこれから何をしたいのかを把握しリーシング活動を行うことが重要と考えています。
説明は以上となります。どうもありがとうございました。
(Billions of yen)
1 | Shinjuku Mitsui Bldg. | 170 |
---|---|---|
2 | IIDABASHI GRAND BLOOM | 139 |
3 | Roppongi Hills Mori Tower | 115 |
4 | Shiodome Building | 107 |
5 | Tokyo Shiodome Building | 83 |
1 | Nippon Prologis | +1.86% |
---|---|---|
2 | Daiwa House REIT | +1.82% |
3 | CRE Logistics | +1.77% |
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