2023年1月期(第39期)決算説明資料
今回取り上げるのは、2023年3月16日に開示されたと東急リアル・エステート投資法人(以下TRI)の39期(2023年1月期)決算資料です。
資産運用会社は、東急株式会社(出資比率100%)の出資する東急リアル・エステート・インベストメント・マネジメント株式会社にて、TRIは2003年6月に上場しております。
東京23区のオフィス市場は、空室率が小幅に低下している。新規供給が限定的な中、オフィス環境改善を志向する企業の増加も影響し、グレードアップや立地改善のための移転、拡張移転による空室消化が進んでいる。オフィス賃料は、湾岸エリアや大口の募集床を抱えるビルを中心に需要獲得のための賃料調整が続いているものの、下落幅が縮小しほぼ横ばいで推移している。
商業施設賃貸市場は、3年ぶりに行動制限のないクリスマス、年末年始となり外出需要が高まったことや、全国旅行支援で観光客が増えたことによって来館者数・売上を伸ばしたSCが多く見られた。百貨店は、回復途上にあるものの、東京都心に立地する百貨店では人の流れの回復に伴ってコロナ前を上回る販売額となっている。一方、生活必需品の値上げが個人消費回復の阻害要因となり消費者心理は依然として弱含みの状況にある。
不動産売買市場は、国内投資家や海外投資家の投資額は増加したものの、J-REITの投資額は減少し、2022年の総投資額は2021年比で2%減少している。日銀の金融政策の一部変更を受けて金利は上昇しているものの、海外と比較して利回りスプレッドは高く、国内優良物件に対する不動産投資家の積極的な投資姿勢が継続していることから、期待利回りは過去最低水準で推移している。
当期においては、2022年11月30日に『東急銀座二丁目ビル(譲渡価格:89.7億円)』を譲渡した。また、2023年1月31日に『二子玉川ライズ(共有持分)(取得価格:202億円)』の共有持分を取得した。
当期末現在の本投資法人が保有する31物件の取得価額の合計は2,476億円となった。
物件の管理運営面においては、東急㈱等との協働(コラボレーション)により収益の安定性及び成長性を実現し、内部成長を図る。そのために企業業績や消費の動向を見据え、中長期的にテナント企業、来館者から選別される施設運営を目指す。具体的には、物件グレードに合致した適切かつ戦略的リニューアルや、中長期的視野に立ったリーシング活動の実施により、賃料水準の維持・向上を図る。また、管理費用及び追加設備投資についても適切なコスト・コントロールを行っていく。現在の投資環境判断として、不動産売買市場は不透明な状況ではあるものの、首都圏の不動産価格が高止まりの状況が続いていることから、「長期投資運用戦略(サーフプラン)」における「売却・入替期」にあたり、首都圏のうち、渋谷・東急沿線の不動産価格は、スポンサーである東急㈱において、渋谷駅周辺開発に続き、広域渋谷圏(渋谷駅半径2.5km圏内)や東急沿線の開発が継続することから、上昇することが期待される。これらにより、東京都心5区地域及び東急沿線地域を重点的な投資対象地域としている本投資法人の保有物件の含み益は増加している。
このような環境認識のもと、本投資法人は「長期投資運用戦略(サーフプラン)」及び「循環再投資モデル」に沿って、保有物件のトータルリターン、物件築年数、所在エリア等を考慮の上、物件入替を行うとともに、物件入替で生じた余剰資金を原資として、自己投資口の取得及び消却を検討する。
当期においては、特定資産の取得資金等へ充当することを目的として長期借入金85億円の借入れ及び投資法人債30億円の発行を行ったほか、当期に償還期限が到来した投資法人債の償還資金に充当することを目的とて投資法人債30億円を発行した。また、有利子負債の長期固定金利化及び返済期限の分散化を図るため、当期に返済期限が到来した長期借入金22億円の借り換えを行った。
当期末現在の有利子負債残高は1,045億円(投資法人債残高110億円、長期借入金残高935億円)となった。
主要指標(決算説明資料より抜粋)
(Billions of yen)
1 | Shinjuku Mitsui Bldg. | 170 |
---|---|---|
2 | IIDABASHI GRAND BLOOM | 139 |
3 | Roppongi Hills Mori Tower | 115 |
4 | Shiodome Building | 107 |
5 | Tokyo Shiodome Building | 83 |
1 | Global One | +1.90% |
---|---|---|
2 | Kenedix REIT | +1.66% |
3 | Hulic Reit | +1.58% |
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