2017年06月27日

【後編】第9回「不動産投資市場政策懇談会」

2017年6月21日 国土交通省開催

2.リート市場等の改革
2001年に開設されて以来、資産規模の拡大や資産内容の多様化が着実に進んできたJ-REIT市場ですが、その流れを後押し、更には加速させるため、アクションプランでは資産内容の多様化促進、社会的責任を重視した投資に関心を強める内外機関投資家へのアピールと環境性能に優れた不動産の供給拡大を狙ったESG投資の基盤整備、地方創生型の不動産証券化促進が謳われました。
特に資産内容の多様化促進について、CRE活用の一手段として私募REITを使った証券化の活発化が挙げられている点は注目されます。
ここで私募REITの現状を確認すると、J-REITが2017年5月末時点で銘柄数58、資産規模(取得価格ベース)約16.2兆円なのに対し、私募REITは2017年3月末時点で銘柄数22、資産規模(同)約2.2兆円にとどまります。ただし、上場商品であるJ-REITと違って非上場であるため投資口価格の変動幅が小さいことから、限定されたリスクで安定した利回りを求める地方金融機関や年金基金からの投資は依然活発な状況が続いています。
J-REITと違って機関投資家しか購入を認められていない私募REITは個人投資家には馴染みの薄い存在ですが、前述したように地方金融機関や年金基金にとって安定した収益源の一つなっています。その市場がCRE活用の進展と相まって活性化することは、間接的な形ではあれ、個々人に対してもプラスの影響が及ぶのではないでしょうか。

3.不動産投資家の投資環境の改革
ここでは、主に内外機関投資家による不動産投資を如何に活性化させるかという観点から取引や物件情報の透明化を図るための不動産評価手順ガイドラインの整備、オフィスや商業施設のような伝統的資産とは異なった収益構造や運用形態を持つオペレーショナル・アセット(ホテルや物流施設、ヘルスケア施設等)に対応した評価指標の整備、三大都市圏以外の地方中枢都市を含んだオフィス・住居の成約賃料インデックスの整備・公表、海外投資家への情報発信の強化が掲げられました。
この中で注目されるのは、オペレーショナル・アセットに対応した評価指標の整備、そして大都市圏以外の地方中枢都市を含んだオフィス・住居の成約賃料インデックスの整備・公表です。どちらもJ-REITが資産内容の多様化、地方分散を図る上で重要なツールになると考えられるだけに、具体化、実現に向けた今後の進捗が気になるところです。

4.人材育成の改革
最後となった「人材育成の改革」では、CRE・PRE活用や地方創生型不動産投資を実現していくため実現するために必要な人材像、そしてネットワーク構築の必要性等が取り上げられました。
注目点としては、不動産投資市場の成長と裾野の拡大には「個人投資家等の不動産及び不動産投資市場に関する理解度を高める必要がある」と明記されたことです。
個人投資家の理解を高めるためにどのような施策が打たれるのか、具体的なところはまだ不明ですが、個々人が不動産投資市場の特徴を把握し、背負える範囲でリスクを負い、継続的に投資を行っていける環境の実現に繋がることを期待したいと思います。

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Property Acquisition Price Rankings

(Billions of yen)

1 Shinjuku Mitsui Bldg. 170
2 IIDABASHI GRAND BLOOM 139
3 Roppongi Hills Mori Tower 115
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5 Tokyo Shiodome Building 83
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