2016年06月30日

国土交通省、3開発案件を民間都市再生事業計画として認定

6月20日週のニュース概観

(写真/PIXTA)

概況

6月21日、GLPが中国物流大手5社と物流施設(総計9.8万㎡)の新規賃貸契約を締結したと発表した。これで2016年に入ってからGLPが中国で新規賃貸を行った物流施設の総計は51.5万㎡となった。
従来製造業が牽引してきた中国経済は、現在、消費・サービス主導型の経済構造へと変貌を遂げつつあり、それを追い風にEコマース市場の規模拡大が続いている。具体的な数字を挙げると、2015年の中国のEコマース市場の規模は約6,720億ドル(1ドル=105円で換算すると70.6兆円相当)、対前年比成長率は42.1%を記録した。同時期の米国の市場規模約3,406億ドル、対前年比成長率14.2%、日本の市場規模約895億ドル、対前年比成長率14%と比べると非常に強い数字である(数字は2016年6月14日発表の経済産業省「平成27年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査」に依る)。 「Eコマース市場の拡大が先進的物流施設の需要を強化」という構図は日本のみならず中国でも進行中であり、GLPの動きはその大波をとらえようとするものだと言える。

24日、国土交通省は三井物産と三井不動産が東京都千代田区で進める「(仮称)OH-1 計画」、一般社団法人道玄坂121が渋谷区で進める「(仮称)南平台プロジェクト」、株式会社アルベログランデが港区で進める「(仮称)竹芝地区開発計画」をそれぞれ民間都市再生事業計画として認定したと発表した。
事業者にとって自らが進める開発計画が民間都市再生事業計画に認定されることのメリットは、税金と資金繰りにある。具体的に言うと、認定を受けた開発事業については、事業用地取得に関する不動産取得税、建築物整備に関する固定資産税や都市計画税等について軽減措置が取られる他、民間都市開発推進機構によるメザニン支援(劣後ローンの供与、劣後社債の取得)等の金融支援を受けることが可能となるのである。
こうした政府の後押しを受けながら、東京の都市力向上、グローバルシティへの変貌がどこまで進むか注目される。

物件動向

6月20日週は以下の3件の物件動向が報じられた。

a. 神奈川県愛甲郡:「GLP厚木Ⅱ」計画
6月20日にGLPが竣工を発表したマルチテナント型物流施設開発計画。当該施設は圏央道「相模原愛川IC」から約2.7kmの敷地約3.8万㎡に建設され、延床面積は約8.9万㎡。免震構造やバックアップ電源設備を採用し、災害時における事業継続性を確保している。また全館LED照明採用や太陽光発電パネルの設置といった環境面に配慮した設計となっており、認証としてCASBEE神奈川県の「A」ランクを取得している。
テナントとしては既にイオングローバルSCMとユーディーエルの入居が確定しており、満床での稼働開始となる。
b. 東京都中央区:「(仮称)JPビルディング建替計画」
6月23日、三井不動産と日本紙パルプ商事が7月1日の着工を発表した。当該立替計画は、日本橋室町三丁目4番地の日本紙パルプ商事等が保有する敷地約2.3千㎡に地下3階地上15階、延床面積約2.9万㎡のビルを建設するというもの。三井不動産がプロジェクトマネジメントを担当する。
ビルの竣工は2018年6月末を予定しており、竣工後はオフィス、商業施設、ホテルからなる複合施設として利用される(ホテル部分の開業は2018年秋予定)。
c. 東京都港区:「高級サービスアパートメント事業」計画
6月23日、積水ハウスがシンガポールに拠点を置くフレイザーズ社と組んで高級サービスアパートメント用ビルを開発することを発表した。対象となるのは赤坂5丁目エリアで、そこに延床面積約1.5万㎡の高級サービスアパートメント用ビルを建設する(開発と物件所有は積水ハウス、物件運営はフレイザーズ社がそれぞれ担当)。スケジュールとしては2017年夏の着工と2020春の開業を見込んでいる。
サービスアパートメントとは長期滞在者をターゲットとしてホテルとアパートとの中間的機能を提供するもので、フレイザーズ社は既に複数のブランドで世界的にサービスアパートメント事業を展開している。そんな同社にとって初の日本進出となる今回の案件だが、同社は最高級ブランド「フレイザーズスイート」を投入し、利用者に対してレストランや24時間対応のジム、各種ビジネスサービスも含めた上質な滞在サービスを提供していくという。

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