2016年08月04日

「REITキーマンに聞く!」ケネディクス不動産投資顧問株式会社 浅野 晃弘氏

今回は、ケネディクス不動産投資顧問株式会社 浅野 晃弘氏に業界動向やファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。

――NSCは細かく見ると立地が少し変わるだけで人の入りが変わると思いますが、取得の段階でのポイントはどのようなことでしょうか?

やはり、交通のアクセスが良いというのは評価のポイントとなります。
ただし、必ずしも大きな幹線道路に面していれば良いわけではないケースもあります。例えば、渋滞を起こす、交通量が慢性的に多く駐車場に入れない、などの場合は、幹線道路から一本入った方が良いということもあります。
他にも視認性などの利点を踏まえて、物件ごとに総合的に評価しています。

――Eコマースと実店舗の状況についてお話を伺えればと思います。
現在、「小型家電」や「書籍」などはネットでの購入が強いと言われていますが、一方で食料品、雑貨等は実店舗にて購入する傾向が高いと総務省の調査からも報告されています。実際の状況はいかがでしょうか?

結論から言いますと、食品や生活必需品はEコマース抵抗力が高いジャンルと言われています。
実際、食品マーケットにおけるネットスーパーの割合は0.6%しかないと言われています。

そこには、日本人の魚文化を背景とした昔からの特性があるのではないかと思います。
具体的には野菜、魚、肉などの生鮮食品は鮮度を見て買い物をするという傾向が強く、ネットスーパーはそこまで普及していないと言われています。

また、ネットスーパーには2種類のタイプがあります。
お店から配送しているタイプと物流施設を構えて配送しているタイプです。
後者のほうではうまく採算がとれず、撤退された例もあります。

生鮮食品を扱う場合、やはり在庫リスクがありますので、前者のお店から配送しているタイプでは、売れ残った場合は店頭とシェアでき、在庫リスクが軽減されます。これは本投資法人の店舗でも採用している事例もありますが、この場合は店舗とネットの「競合」ではなく、「共存」と言えるでしょう。
食品以外でも、生活必需品は金額も小さいためまだ実店舗で購入するお客様が多く、Eコマースの影響を受けているのは家電や書籍、DVDや重量のある商品になっています。

――Eコマース抵抗力が高く、日常的に購入される商品として食料品がポートフォリオのテナント属性のポイントとなりそうですね

確かに本投資法人のポートフォリオのテナント属性比率は食料品が一番多く、最近では食料品も扱うドラッグストアなども含めると、ポートフォリオの3割程度が食料品関係となります。

本投資法人では、食料品を扱う店舗がほとんどの物件で入居しています。
日常的に必要となる食料品は来店動機と来店頻度に繋がります。来店されたお客様が帰りに衣料専門店やホームセンターに寄ることで相乗効果が得られます。
食品スーパーがしっかりすることで、実店舗で買い物するニーズが維持できるのではないかと思います。

――確かに食料品は日常的な購買が予想されますので、来店頻度に繋がりやすいと思います

欧米では1週間単位でまとめ買いする傾向がありますが、日本人は1食分や2日分の惣菜を購入する傾向があり、肉は100gなどで小分けしなければ売れない場合もあります。

これは日本人の魚文化のDNAと言われているようです。
江戸時代からの「その日の惣菜は市場にいき、その日の分だけ買って帰る」という習慣が今にも続いていると言われ、あまり日本人がまとめ買いをしないのはそのためだとも言われています。

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