2016年04月11日

「REITキーマンに聞く!」ヘルスケアアセットマネジメント株式会社 赤松 利起氏

今回は、ヘルスケアアセットマネジメント株式会社 赤松 利起氏に業界動向やファンドの特長に関してインタビュー形式でお話していただきました。

――取得する上でヘルスケア施設はオペレーターと一体になるので、目利きというものが大変重要なのかと思いますがいかがでしょうか?

特にサービス付き高齢者住宅(以降、サ高住)の目利きは大事になります。
サ高住と住宅型老人ホームは、誰でもどこでも建てられますが、介護は簡単にはできません。特にサ高住は補助金も出るので安易に建設され、入居状況が悪いので売却したいというような話は我々もよく耳にします。

一方、この業界はM&Aが多く起こります。最近の事例もこれを裏付けるものですが、もっと規模の小さい会社でも行われています。
我々の物件には、バックアップオペレーターはいません。というのは、バックアップオペレーターは介護の面からは機能しないからです。介護保険給付の対象となる介護サービスは各々にケアプランが作成されこれに基づき介護サービスがなされていきます。オペレーターを替えるだけでは、ケアプランの作成から始めないといけませんので、介護サービスに空白期間ができてしまいます。また介護付き有料老人ホームはオペレーターが行政から指定を受けているため、オペレーターを替えると同じサービスを同じ金額で行うことはできないのです。
そのため運営母体が傾きかけた物件については、その物件が介護付(特定)であったり、入居状況等が悪くない場合には、入居者や社員をそのまま引き継ぐことが出来るM&Aや事業譲渡が行われてきたのです。
しかしながら、入居率が低いサ高住の場合には、その運営リスクを負って誰が引き受けるのかということになりますので、特にサ高住の目利きは重要だと言っております。

――病院不動産の組み込みについて

病院の場合は、通常、土地・建物を所有しているというのが前提になります。
流動化されたものの多くは、業績が傾いた病院に対して再生型私募ファンドが、貸し付けをしたり、土地建物を高く買い取りバランスシートを一旦スリム化した上で、経営改善を図り、最終的にはオーナーが買い戻すというスキームです。
うまくいかない場合、ファンドが経営への関与度を高め、更には不動産を第三者へ売却してしまう等の事例もあり、医療業界の中では必ずしも良い印象は持たれていませんでした。

2015年6月に確定した国土交通省「病院不動産を対象とするリートに係るガイドライン」の委員会では、その点が最初議題になりました。
結論から言いますと、『リートは私募ファンドのように経営再建を目的とするのではなく、不動産のオーナーに過ぎないので経営には関与しません』という整理がなされました。

しかしながら、今でも病院側はリートと私募ファンドの違いがよく分かっていないことが多いため、リートに関する啓蒙を行っているというのが現況です。
足元の金融環境では、優良な病院の建替えは銀行融資に流れるケースが多くなりそうですが、医療として地域に必要な病院でも、財務状況によっては資金調達が難しいケースもあるようです。
病院側としてリートを活用したいケースというのは、例えばM&Aを行う際のM&Aコストの引き下げであるとか、事業承継時の流動化等になるかと思います。
7対1を守るために、看護師基準の緊急度合いを上げるための、○○センター設立資金が必要になりリートを活用するといったことも考えられます。

また、経営難に陥った病院が不動産を売却する場合も当然考えられるので、目利きは非常に重要です。病院の場合は介護施設に比べても個別性が高く、収入源も多岐に渡りますので目利きのハードルはさらに上がります。我々は再生ファンドではありませんので、役割分担を含め十分に検討を重ねる必要があります。

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