2015年11月26日

【前編】物流不動産の未来を考える

日本物流不動産機構推進協議会主催 第9回セミナー

J-REITの投資対象としてすっかり定着してきた物流不動産、個人向け投資家向けの説明会等では「長期固定賃料なので、オフィスや商業施設に比べて収益が安定的」「景気変動にあまり左右されない賃料収入が魅力」と説明されます。しかし多くの人にとってはオフィスや商業施設と比べて直に触れる機会も少なく、物流不動産がどんな環境に置かれているのか、どんな変化に晒されているのかがいまいちピンとこないことも多いかと思います。
そこで、10月21日に開催された日本物流不動産機構推進協議会主催(後援:日本政策投資銀行)のセミナー「物流不動産の未来を考える」に参加し、物流不動産を取り巻く環境を探ってきました。

セミナーは、以下のように個別のテーマに沿って業界の第一人者ともいうべき方々が講演を行うという形で進められました。

1.「今後の物流政策と物流不動産」
国土交通省 大臣官房参事官 坂巻健太氏
2.「物流不動産~金融機関の視点から~」
株式会社日本政策投資銀行 企業金融第3部 土屋勝俊氏
3.「区分所有による共同型物流センターの解説」
日本物流施設株式会社 代表取締役社長 河田榮司氏
4.「高速道路に連結した複合物流センターの開発」
J&Kロジスティクス株式会社 代表取締役 原瑞穂氏
5.「人が変える物流の未来~物流業界を変革する人材とは~」
イーソーコ株式会社 取締役会長 大谷巌一氏

上記各講演で触れられた物流業、ひいては物流不動産を取り巻く環境、課題をまとめると以下のようになります。

  • ・物流業は、トラック運転手を中心に高齢化と若年労働者の流入減が急速に進んでいる。
  • ・貨物の小口化が年々進行
    (取扱量が重量ベースでは減少傾向だが、個数ベースでは増加傾向となっている。)
  • ・現在の物流需要を牽引しているのは通販やe-コマースの拡大。
  • ・都市圏を中心に中小倉庫の老朽化、機能の陳腐化が急速に進んでいる。
     (特に2020年からフロン規制があり対策が必要になる。)
  • ・倉庫に求められる機能が高度化、複雑化している
    (単なる物置ではなく、簡単な加工や冷凍・冷蔵も可能な施設が求められるように)

 

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