ケネディクス・レジデンシャル投資法人の特徴/関 大介
ケネディクス・レジデンシャル投資法人(証券コード3278、以下KDR)が4月26日に上場した。J-REIT市場での新規上場は新設合併の手法を採用したアドバンス・レジデンス投資法人を除くと、2007年10月の産業ファンド投資法人以来、4年半ぶりとなった。
KDRは名称が示す通り住居特化型の投資法人である。KDRを他の住居特化銘柄と比較した場合、現時点での投資方針の特徴は以下の2点と言える。
1)住居区分の中で底地を独立した分類としポートフォリオの20%程度を上限に組入れる方針を持つ。
2)投資地域の占める首都圏の下限割合が50%と低い。
この2点の特徴をKDRが持つことで、外部成長の余地が大きい銘柄となっている。
底地物件の取得は、建物所有者が物件の売却時に底地権者の承諾が必要であり、KDRが建物取得のための優先交渉権を得ることも可能となることで将来の外部成長に寄与する。加えてケアハウスなどのシニア物件などの場合、常にバックアップオペレーターなどが必要になるが、底地であればその点でのコスト負担が必要なくなる点も指摘できる。KDRは上場したばかりでありシニア物件のオペレーティングリスクを取りにくい段階であるが、「ニチイホーム たまプラーザ」は底地物件であったことで上場当初から取得可能になったものと考えられる。
次に首都圏の下限割合が50%と低い点は、地方都市の取得余地が大きいという点で外部成長に寄与する。投資方針で首都圏の投資比率の下限が50%となっている銘柄は、日本賃貸住宅投資法人(以下、JRH)が東京都心7区に30%以上、三大都市圏に50%以上としているだけだ。その他の住居特化銘柄は首都圏の投資比率の下限が70%~90%程度となっている。
KDRとJRHの取得額ベースでの投資比率を比較すると、両銘柄とも関東地区以外が36%となっていて、他の住居特化銘柄が20%以下となっている点と比較すると高い水準になっている。
但し、投資家目線では地方物件の投資に対するリスク懸念が大きい。従って、KDRが地方物件の取得比率を現在の36%から拡大していくためには取得物件の投資地域の状況説明等、より細やかな情報開示が必要となろう。
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