J-REITの市場規模/REITアナリスト 山崎成人
JREITの市場規模を時価総額で見ると、株価調整前では6兆円を超えていましたが、現在は5兆円程度になっています。
この規模を世界のREITと比較すると、大凡、米国48兆円、欧州(英・仏・蘭等)20兆円、豪州12兆円に次いで、4番目の規模となります。
日本の次はカナダで日本の半分程度、その次はシンガポールで2兆円程度という規模です。
この他にも、REITが創設されている国があり、(国別では17ヶ国)これらを全て合わせたREITの規模は約95兆円程度と見られています。
一方、世界のストック・マーケット規模は7,200兆円程度と言われており、これに比べるとわずか1.3%の規模にしか過ぎません。
このように見ると、ストック・マーケットの波動の一部が及ぶだけで、REIT市場は変動を起こします。
今日のJREITの調整も、ストック・マーケットと並ぶ債券市場(債券市場の規模は兆の上の京単位だと言われています。)の影響から始まりましたが、今後はストック・マーケットの影響も受けそうです。
投資の世界では、株式と債券が伝統的な投資商品ですが、規模こそ及ばないものの不動産も伝統的な投資商品なのです。
従来であれば、不動産に投資するのは簡単ではありませんでしたが、REITという仕組みにより他の投資と同じように簡便な投資になりました。
従って、将来の投資市場では、株式、債券、不動産(REIT)が主要な投資商品になる可能性があります。
これはREITにとっては歓迎すべき方向ですが、一方、REITの規模は株式や債券のように簡単には大きくはなりません。(裏付けとなる実物不動産の取得が必要)
そのため、時価総額が小さいという状態が続くことで、株式・債券の2大マーケット影響を受け易くなります。
REITは、株式と債券の中間に位置する投資商品だと考えられていて、原則はインカム型商品なのですが、投資資金の流れによって、比較的大きな株価(投資口価格)変動を起こしてしまいます。
今のJREITは、まさにその状態で、株式よりも大きな値動きになっていますが、これも資金の流れが原因です。
JREITの本来の価値とは関係のない部分で株価が乱高下するのはこのメカニズムによるものだと考えられますが、良し悪しは別にしてどうしようもない問題です。
それでは、この先も続くのかという事が気になりますが、前述の考え方からすれば当分は収まりそうもなく、一旦収束しても、また起こるということになりそうです。
逆に、JREITの動きが安定するようになれば、それは世界の投資資金から見放された状態になったとも言えますので、これも困ります。
投資家にとって、こういうJREITをどのように見ていけば良いのかは、基本に戻って長期投資で見ることです。
投資口価格の上下に一喜一憂せずに、インカムの連続性と安定性を吟味し、成長力(配当金だけでなく、保有不動産の質も見る)をチェックしていれば、自ずと投資利益が得られるはずです。
この視点さえ持っていれば、投資口価格の上下を楽しむことも可能ですので、見方によっては、JREIT投資はこれからが面白いとも言えそうです。
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