2007年11月12日

不動産会社の運用子会社設立と内部管理体制強化/池島麻美


 今回施行されました金融商品取引法によって、不動産ファンドも規制対象となり、金融庁への登録または届け出が必要になるということを以前に書かせて頂きました。
金融庁は投資家保護のために今後内部統制などの検査を実施していくということです。

この金融商品取引法に対応するために、不動産会社は不動産ファンド運用の子会社を設立したり、子会社の内部統制を強化する企業も出てきました。
例えば
東京建物は不動産運用子会社として、「東京建物不動産投資顧問」を設立しました。また三菱地所は「三菱地所投資顧問」を設立しリスク管理や内部監査部を設けるということです。
不動産会社にとって運用を子会社、つまり別会社にすることで、コンプライアンスを担当に任せたり、内部監査の権限を強めることができます。
また不動産を実際の市場以上の高い価格でファンドに売却して利益を得るといことも防げると思われます。

このように不動産市場の透明性の高まりから個人投資家の資金の預け先としてこれまで以上に注目する可能性もあると思うのです。
金融商品取引法の施行に対応するために、今後は不動産ファンド子会社の設立や内部体制を強化してくる企業は増えると思われます。
実際に今回の法施行後、ファンドの運営会社では、コストの問題や法規制に対応出来ず販売を見合わせた会社もあります。
中小規模の運用会社が、このような体制を整えるためにはコストの増大や人材の問題など対応が厳しい会社も多いということです。
よって今後は、ファンドの淘汰、物件の切り売りやファンドごと買ったり買われたりというM&Aも進むのではないでしょうか。
資金調達が厳しくなったりと伸び悩んでいる不動産ファンドですが、しかし、この変わりゆく法律とともに、危機を素早くチャンスに変え、新しいビジネスが生まれるのではないかとも思うのです。

マーケットコラム バックナンバー
2024/11/15
トランプ大統領の再選がJ-REIT市場に与える影響/アイビー総研 関 大介 【関 大介】  
2024/11/01
「売られすぎ」のJ-REIT価格/アイビー総研 関 大介 【関 大介】  
2024/10/15
2024年度上半期の価格動向/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
2024/09/27
米国の利下げとJ-REIT価格への影響/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
2024/09/13
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の合併について(2)/アイビー総研 関 大介 【関 大介】
バックナンバーをもっと見る
* 当サイトはJ-REIT(不動産投資信託)の情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としておりません。
* 当サイトの情報には万全を期しておりますがその内容を保証するものではなくまた予告なしに内容が変わる(変更・削除)することがあります。
* 当サイトの情報については、利用者の責任の下に行うこととし、当社はこれに係わる一切の責任を負うものではありません。
* 当サイトに記載されている情報の著作権は当社に帰属します。当該情報の無断での使用(転用・複製等)を禁じます。
J-REIT情報open
記事・ニュースopen
ETFopen