年金資金と不動産①/池島 麻美
日本では、言うまでもなく、少子化から高齢化社会へと進んでおります。現在、人口の割合でいうと、65歳以上が20%、75歳以上が9%ということですが、2030年には65歳以上が30%、75歳以上が18%、そして2050年には65歳以上が36%、75歳以上が21%と、少子高齢化社会は確実に進んでおります。
同時に年金、高齢者給付など社会保障制度を求める声は強まっております。
年金基金の不動産投資への関心は高まる傾向ですが、とても難しい問題も抱えているのです。
今回は二回に渡り、「年金資金と不動産」について紹介させていただこうと思います。
高齢化社会が進む中、一番に求められているのが年金基金の安定運用です。これは日本だけでなく世界共通の問題とされております。
投資として不動産を見た場合、メリットとしましては、
①インフレに強いこと
②長期的な安定した収益が見込めること
③毎月一定額の配当が期待できること
ということが上げられます。
長期維持間管理、長期安定資金を必要とする不動産の特性からしましても、年金資金の運用先として充分な投資先と考えられると思うのです。個人年金資金も同様に長期維持管理を必要とする、長期安定的な資金です。不動産を年金資金で充当することは不動産の価格安定にも繋がるとも言われております。
また不動産市場に私達の資金が流れることで、都市再生や地域活性が促され、配当により国民の生活が安定し社会的貢献に繋がる、そして、なお不動産市場が発展すると考えれば、年金資金と不動産市場との結びつきはとても魅力的なものに思えます。
しかも日本の不動産ストックは米国についで世界で第2位と言われております。まだまだ再生や再開発の余地も多く不動産の有効活用が考えられるのです。
現在の地価の過熱だけを懸念するのではなく、この資源を生かして少子高齢化社会を克服する方法があるのではないでしょうか。少子高齢化社会への対応と不動産市場の発展のためにも、不動産市場と年金資金の結びつきはこれから更に重要視されていくとも思われます。
ここ最近は、不動産投資への関心は年金基金も高まりつつあり、独立したアセットとしてポートフォリオに組み入れられるようにはなってはきましたが、諸外国に比べると日本の年金基金の不動産に占める割合は非常に小さいというのが現状です。
このような現状において、法制度や税制など様々なの課題も抱えております。
次回はその問題点についてご紹介させていただきます。
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