東海道リート投資法人が上場へ/アイビー総研 関 大介
1. 直近の価格動向
J-REIT価格は、2月中旬からの大幅な上昇局面から安定的な値動きに移行している。東証REIT指数は4月2日以降、2,000ポイント以上で推移し、5月26日には2020年3月のコロナショック後の高値を更新し2,079ポイントまで上昇した。
価格上昇を牽引している投資主体は外国人投資家だ。個人の投資資金を背景とした投資信託や金融機関は価格上昇が顕著になった2月以降売り越しが続いているが、外国人投資家の買越しが続いている。外国人投資家は、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人への敵対的TOBの動きの背景にある日本の不動産価格に対する割安感に注目しているものと考えられる。
2. 東海道リート投資法人の概要
このようにJ-REIT価格が堅調な動きとなっている中、2019年12月のSOSiLA物流リート投資法人以来、1年6ヶ月ぶりに新規上場銘柄が登場することが5月14日に公表された。東海道リート投資法人(TKDR)は、6月22日に上場予定となっている。
TKDRのメインスポンサーは、静岡を地盤とし不動産開発を主要業務とするヨシコン株式会社(JASDAQ)であり、運用会社の株式55%を保有する。サブスポンサーには、未上場であるが静岡を基盤とする大企業である鈴与株式会社、静岡銀行、中部電力ミライズなども参画している。
投資用途は様々な用途に投資を行う総合型であり、投資地域はTKDRの定義に拠れば「静岡を核とする産業地域である静岡県、愛知県、三重県」に60%以上の投資を行うことを投資目標としている。東京を中心とした首都圏以外の特定地域を主要な投資エリアとする総合型銘柄としては、関西圏主体の阪急阪神リート投資法人や九州圏中心の福岡リート投資法人が上場している。
上場時のポートフォリオは8物件、取得額で303億円であり、旗艦物件は静岡県所在の底地を取得する「浜松プラザ」(取得額119億円)と三重県所在の物流施設「いなべロジスティクスセンター」(取得額62億円)でポートフォリオの半分以上を占める。
投資地域は上場時には、上記の静岡を核とする産業地域が100%となり、用途構成は図表の通り分散している。TKDRは資産規模2,000億円以下の総合柄銘柄の中では「コロナ禍で相対的に評価が高い物流・住居・底地比率が9割」と相対的に高い点を打ち出し、投資家に上場時ポートフォリオ収益の安定性を強調している。
久しぶりの上場となる本銘柄の投資ポイントと留意点については次回記載する予定である。
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