投資家の売買動向からREIT相場を予測する/アイビー総研 関 大介
東証REIT指数は、2013年末の1,515ポイントから年初はやや弱含みで推移しましたが、4月以降「図表1」の通り価格水準を徐々に切り上げる展開になっています。
但し、投資家の売買動向を見ると、新年度に入り、従来とは「風向き」が変化しているため、注意が必要な状況です。具体的には、2012年12月に安倍政権が発足してから大幅な買越しを続けていた投資信託が2014年4月から売越しに転じています。その一方、5月から外国人投資家の買越しが続いています。(図表2)
投資信託の売越しを外国人の買越しが支えるという展開は、5月・6月の2ヶ月だけですが、今後も同様な傾向が続くとすると、J-REIT価格が乱高下する可能性が高くなると考えられるため、注意が必要です。
個人投資家資金が背景になっている投資信託は、海外市場の動向に左右される要素が少ない投資家と言えます。例えば、米国の金融緩和縮小観測が強くなり日経平均が下落した2013年夏頃も、投資信託はJ-REITの買越しを続けていました。2013年からJ-REIT価格が安定的に推移している要因には、投資信託の安定的な大幅買越しがあったと考えられます。
一方、外国人投資家は、当然ながら外国市場動向の影響を強く受けることになります。J-REIT価格は、2010年10月に日銀がJ-REIT個別銘柄の買取りを公表してから2013年になるまで乱高下を続けていました。その当時J-REIT価格形成に影響が強かった外国人投資家は、日銀の金融政策を受けて買越しましたが、欧州金融危機などの海外市場混乱により売越しに転じることも多かったことが挙げられるためです。つまり現在の売買動向が続くとすると、海外市場の動向に敏感な従来のJ-REIT価格形成と同じ状況が再来すると考えられるのです。
このような点から今後の投資家の売買動向を確認する必要性が高い状況になっています。
外国人投資家の大幅な買越しが、2006年から2007年にかけてのJ-REIT価格の上昇を牽引しました。従って今後も外国人投資家の買越し基調が続くと考える投資家には投資好機とも言える状況ですが、乱高下することも考慮に入れて投資することが重要だと考えられます。
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