海外投資資金の流れから予測する/REITアナリスト 山崎成人
東証が毎月発表する投資部門別売買状況を見ると、4月・5月と外国法人が大幅売り越しになっています。
一方、過去3年間の外国法人の売買動向を見ると、買い越し月と売り越し月がほぼ同数となっています。また昨年は買い;売りは7ヶ月;5ヶ月で、年間では中立になっていますから、今の売買動向が特異な流れではありません。
過去の例で見ると、何れ買い越しに転じてきますので、現象としては慌てる必要はありませんが、個別の売買状況を見ると、外国法人の売りには国内金融機関が買い支えに入っていますので、この構造が崩れない限りという前提になります。
例えば、外国法人の売り越しが8ヶ月続いた2010年3月~10月も金融機関が買い支えに入っていて、東証REIT指数の変動率こそ大きくはなりますが、下落一方とはなっていません。
このように過去の売買状況を詳しく見ると、大凡の市場の取引傾向が見えてきますが、REITの場合は、短期ではなく中長期で動向を見ないと傾向が把握出来なくなります。
そして、取引主体の思惑と行動原理から売買の意図を探り、今後の流れを予測するということが必要です。
この視点で見ると、REITは当面は大きな動きはなく、東証REIT指数は一時的に900ポイントを割り込みはするでしょうが、全体としては900ポイント台で推移すると考えられます。
このような予測は、個人投資家やその他の投資家にとっては歓迎すべき状況ですから、こういうタイミングを上手く捉えると年率10%近くのリターンもあり得ます。
日銀を初めとして金融機関が下方変動を抑制してくれているので、一時的に下がっても戻すという循環になりますから、目標利回りに達した時点で投資を行えば、比較的簡単にかなりのリターンが得られるのです。
但し、このような楽天的な見方をするには、いくつかの前提とチェックポイントがありますので、それを知っておく必要がありますが、それらを投資家自身でウォッチするのは難しいので、専門情報の収集が必要です。
REITの場合、この専門情報が限られていて、何処から収集するかによって見通しが変わってしまいます。これがREIT投資を難しくしている一つの原因ですが、情報収集努力を怠らず、且つ吟味できる人にとっては有利ですから、その意味では公平な市場だとも言えなくはありません。
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