2011年10月07日

日銀のREIT取得が加速/REITアナリスト 山崎成人

 9月に入って頻繁に日銀がREITを取得しており、9/9~10/5の間で12回実施していますので、2営業日毎に買いに入っている勘定になります。
1回の買入額は17億円、10月は既に3回で31億円取得していますが、10/5の東証REIT指数は884.15ポイントとほぼ1年ぶりに900ポイントを下回りました。
日銀のREIT取得があってもこれだけ下がるのは、恐らく外国法人の売りによるものだと考えられます。
東証が発表する投資部門別売買動向を見ると、7月・8月と2ヶ月連続で外国法人が売り越していて、月間の売越金額は110億円前後ですから、日銀がこの分を買い支えている形になります。
外国法人に加えて、投資信託も取引金額では7月・8月と売り越していますので、外国法人と投資信託の売りによって日銀のREIT取得が費消されている勘定になります。
外国法人の売りは、円高が一つの要因だと考えられますので、見方によっては円高対策の一環だとも言えなくはありません。為替相場を見ると、現在は$1=76円台で推移していますが、この水準が底だとも言えず、更に円高が進行する気配がありますので、未だ予断を許しません。尤も、金融当局から見ると、円相場を支えるには膨大な資金を投入しなければなりませんが、円高による個々の影響を緩和する方が少ない資金で済みますから、REIT取得は大した重荷ではないとも言えます。それに、国内投資資金も行き場を失いつつありますから、遠からず国内投資に回帰するでしょうから、それまでの我慢だとも言えます。

REITは株式と違ってマクロ経済の影響度が弱くなりますから、安定した分配金を実現していれば、何れは投資資金が戻りますので、今は慌てずに分配金の安定対策に注力していれば良いと言えます。
その為には、投資法人は自らの財務内容をチェックして、出来るところから改善する必要があります。
第一義的には、流動性指標の改善ですが、これには増資も必要になりますので、やや規模を小さくして株主割当増資を検討するべきだと思います。特に内部留保を持っている投資法人は十分に検討に値しますので、積極的に取り組んで欲しいと思います。

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