2011年08月05日

為替と消費/REITアナリスト 山崎成人

 ドル安円高になっていて、さすがに一時の76円台からは上昇を始めたようですが、それでも一ヶ月前の81円台よりは3円位低い水準で推移しています。これだけ円高になると、海外で購入した方が有利になりますが、既に海外サイトでは日本を意識した商品案内も始まっているようです。
私は定期的に海外のオークションサイト「e-bay」をチェックしていますが、円高によってそれまで検討しなかった商品も視野に入ってきます。 普通の商品で$500と言うと、米国ではかなりの金額になりますが、日本円だと39,000円ぐらいですから、物によってはそれ程高い感覚ではありません。 今は海外でのネット購入を補助するサービスもあって、本国内しか発送しない商品でも日本へ再送してくれるシステムがありますし、米国アマゾンでは海外発送対応商品も多くなっていますから、多少の英語読解力さえあれば、簡単に購入出来ます。
勿論、こういうシステムを利用するのはマニアや一部の人ではありますが、消費に対して国境の壁が低くなっているのを感じます。 例えば、日本のヤフーオークションでも米国サイトのオークションサイトの価格を意識するようになっていて、ここ数ヶ月で出品価格が変動しています。但し、国外からの購入は物によっては関税が掛かりますから、無税の商品にその傾向が顕著になります。また、電気製品では米国と日本では電圧が異なりますが、米国仕様の110~120Vでもそのまま日本で使える物も多くありますし、数千円で変圧器が買えますのでそれ程の障害にはなりません。
こう考えると、インターネットの普及と関税の撤廃は、消費がグローバルに広がる契機になっています。
既にかなり前から自動車やバイクの中古はアジアで売り捌いていますし、日本の中古家電品をロシア漁船が北海道の小樽港で船積みしているのを20年前位に見ていますが、今はインターネットと普及と物流の整備によって、一定の重量以下であれば輸出入も簡単になっています。 特に、日本のように物流が整備されていると、国内での配送は安心出来ますから、海外物流網だけが問題になります。
今は円高なので不利ですが、円相場が落ち着いて来れば、日本の商品を海外から購入するケースも増えてくると思います。 日本は、物流も含めて非常に安心出来る国ですし、確実に処理されるシステムが確立されていますから、この面では世界一だと言えます。
そういう意味ではTPPを促進して、購買力をグローバルに広げることは日本にとってプラスだと思います。 日本の持っているメリットを生かして、グローバルに展開していく契機にもなりますので、そろそろこういう視点で考えていく時代になっているような気がします。

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