新たな合併の動き/REITアナリスト 山崎成人
4月22日の日経新聞に、新たなスポンサーを求めていた日本コマーシャル投資法人がユナイテッド・アーバン投資法人に合併されるとの報道がありました。
このコラム執筆時点では投資法人側の発表がありませんので詳細は分かりませんが、以前よりユナイテッド・アーバンは有力候補の一つでしたので意外感はありませんが、ここ数日間の投資口価格の上昇はこのイベントによるものだと思われます。
尤も、今までの合併を見ても、投資口価格が大きく上昇する程の評価は得られていませんから、やはり投資法人側の発表を待って内容を検討してからというのが大勢ではないかと思われます。
今までのREITの合併を見ると、商社系が積極的で、伊藤忠系のアドバンス・レジテンス投資法人、三菱商事系の日本リテールファンド投資法人、そして今回の丸紅系のユナイテッド・アーバン投資法人と、合併例の半数を総合商社系REITが占めています。
このように商社系が積極的なのは、動きの俊敏さを重視する業種という事もありますが、変化を取り込むという企業体質も関係していそうです。
不動産業系では、合併に伴う煩雑な業務や合併後の展開シナリオを考えると尻込みする事もありますし、金融証券系ではそこまで手を伸ばせないという事情もあるのかも知れません。
このように考えると、REITが単一業種に占められていないというのもメリットになります。
歴史の浅いREITは、当然変化の途中にありますから、現状で固定される事は成長を阻害します。又、合併のような大きな動きを重箱の隅をつつくような見方では「木を見て森を見ず」になってしまいますので、戦略的に可能性が見出せるのなら積極的に動くべきです。
合併では、多くの不動産を一括で取得出来ますし、しかも垂直合併であれば、簿価を大きく圧縮することも可能ですから、成長戦略としては優れていますが、被合併側の個々の不動産査定にこだわり過ぎると踏み切れません。
長く不動産を扱っていると、極力安値で取得するとか上物を選別するという意識が強くなりますが、それは黎明期の考え方です。
今日のように、REIT銘柄も増え、ファンドも多くなってきた状況では、他を出し抜くという発想では続けられません。
不動産の取得を通じて優位性を確保したり保ったりしよういう発想では、この先の成長性は覚束なくなります。
それよりは、自分達独自の戦略を立て、合理的に動く事で優位性を得ようとする展開が必要です。
その為には、合併後の戦略と展開が鍵になりますので、今年は合併後の展開が問われるようになると思いますし、又、その過程でREITというスキームの本質的部分が明らかになって行くのだと考えています。
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