2009年12月14日

海外投資資金の動きから/REITアナリスト 山崎成人


 東証発表の投資部門別売買動向を見ると、市場取引でのシェアホルダーである外国法人が8月から4ヶ月連続して売り越しになっています。
今のJREITであれば、恐らく12月も同じではないかと推測されますので、 長らく買い越し主体であった外国法人の投資熱が冷めたのではないかとの懸念も出ます。
私の所にも今秋以降海外からの問い合わせが減っていて、潮が引いている感じがします。
関係者に確かめた所、海外投資資金は中国・インド等にシフトしていて、日本は置き去りの感があるとの事でした。これら海外ファンドのアジアの拠点も上海・香港に移っていて、東京はそのブランチになっているようです。
従って、このまま手をこまねいていると、日本及び東京はアジアの中でも2番手・3番手の位置に落ちるのではないかと思われます。

こうなった原因は色々と考えられますが、直近の要因は政権交代だとも言えなくはありません。
民主党政権が良いか悪いかと言うよりも、民主党政権からは経済政策の独自の芯が見えてこず、取り敢えず自民党政権からの政策をそのまま踏襲している感があります。
経済政策を前政権とどのように変えるのか、又はそのまま続けるのかというメッセージも伝わってこない上に、経済哲学が何処にあるのかも分かりません。
日本にいる私達でさえこの状態ですから、海外から見れば全くの不透明ですし、闇の中とも言えるぐらいです。
これでは投資を当分は見合わせるのが賢明ですから、様子が見えてくるまでは他の地域で投資をしようという事になります。

一方、来年度予算案では国債の増発が必至の情勢ですから、日本のカントリーリスクが高まり、金利上昇も起こりつつあります。
国債は大半が国内で消化されますから、海外資金とは直接関係が無いとも言えますが、B/S的にはかなりの債務を抱え込みますから、健全な財務内容とは程遠くなります。
B/Sを悪化させてまで予算を膨張させ、何が得られるのかも不透明です。
民主党はパイの配分を変えたいようですが、それは是としても、パイが縮小するのをどう阻止するのかが見えてきません。
既に日本のGDPは横這い状態ですから、国内だけに頼っていてはジリ貧になるのは必至です。
ジリ貧を防いで、どういう風にパイを増やすのかという展望がなければ、日本経済は縮小均衡しかありません。
この事は、どの政党が政権を担当するかに関わりなく、眼前の課題だったはずですが、これを後回しにするのは、単なる党利党略で政治の機能としては劣ります。
一度は政権を担当してみたかったという政治家の自己満足だけが残るようにならない事を祈るばかりです。

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