2009年06月12日

現在のREIT投資環境/REITアナリスト 山崎成人


 株式市場に回復の兆し見えているようで、TOPIX1000でも年内の最安値(3月12日の664.99)から直近では35%上昇しています。
東証REIT指数も同様に年内最安値の2月25日の720.96から24%上昇していますから、投資市場が回復基調にあると言えます。
但し、この先も一直線に上がるとは考えにくいので、株式の方は難しい見方になりますが、REITは底から脱却したと考えれば、投資判断は比較的容易です。

こういう局面ではインカムゲイン投資に利があり、REITのように年間予想配当率が5~6%台の銘柄が数多く存在する状況では、選択の幅が広がります。
勿論、景気低迷の影響に因る賃貸市場の動向を考慮しなくてはなりませんが、賃貸収益が大きく下落しない限りは、ある程度の変動は捨象しても構わないとも言えます。
それは賃貸市場が悪化した際の最後の砦は保有資産の質になり、質が良ければ、テナントの確保は賃料次第となる為です。
逆に質の劣る不動産はテナント確保自体が難しくなり、賃料を下げても所定の稼働率に達せず、賃貸収益が赤字になるケースさえあります。

この視点でREIT全体を見ると、保有不動産の質が一定のレベルに達している銘柄も多いので、短期的にはパフォーマンスの変動があっても、中期の視点では大きな変動がないとも考えられます。
特にレジデンスセクターでは、外人賃貸向け以外は安定した収益動向を示す場合が多いので、このセクターの築浅物件は比較的安心出来ます。
オフィスビルの場合は、市場全体としては空室率が上昇していますが、REIT保有物件の平均空室率は大きな変化ありませんので、稼働率よりも賃料水準の下落に注意を向ける必要があります。
どの程度の賃料下落が予想されるかは、物件によって、又、銘柄によって異なりますが、過去の賃料動向を見る限り、マクロ的には現在の水準よりは20~30%程度は下落すると見た方が良いかもしれません。
それでも、マクロの賃料水準の下落率がそのまま各銘柄の配当金減少率に直結する訳ではなく、銘柄によっては現行の配当金レベルを維持出来そうな所もあります。
それに加えて、投資法人が発表する予想配当金は保守的に見積もっていますので、次期予想配当金をベースにして、配当率を勘案して銘柄選びをしても大きくは外れないので、今はREIT選びのチャンスだとも言えるのではないでしょうか。

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