REIT再編について/REITアナリスト 山崎成人
東証REIT指数の推移を見ると、最低値の732.28(2月23日)に比べて100ポイント程度回復してきていますから、これを見てREITも底を打ったと考えることも出来ますが、必ずしも楽観は出来ません。
次の関門は、日本レジデンシャル投資法人と日本コマーシャル投資法人の行方になります。
日本レジデンシャル投資法人の資産運用会社は、遅くとも5月末までには新スポンサーを決めたいと考えているようなので、GW明け頃には何らかの動きがあるかも知れません。
果たして、新スポンサーが見つかるのか、そしてそのスポンサーはどういう所なのかによって、REIT全体に対する市場の見方も変わります。
仮に、市場が好感を持つ内容になったとすれば、後は、REIT市場の再編整備が必要となります。
現在41の投資法人が上場していますが、個々の銘柄の内容を見ると、中長期的には単独では存続が難しいと思われる投資法人もあります。
そこで、合併等の方法によってREITを再編する必要性が生じますが、幸いにも、合併に至る制度的問題点も徐々に整備されていますから、後は実施に向けての動きになります。
私は、投資法人の合併については2年前ぐらいから言及していますが、制度的な問題により現実には起こり得ないと考えていましたが、最近の制度の変更や市場の状況によって現実味が出てきました。
REITが破綻回避で合併を行うような後ろ向きの形では、市場へのインパクトも大したことはありませんが、REITの破綻懸念が遠ざかった上での前向きな合併であれば、REIT全体へ好影響があります。
そして、REITに対する政策的バックアップも、やはり、REITの再編が前提になるのでは考えています。
その理由としては、現在検討されているREITに対する政策的措置が、機械的に41銘柄全てに施されると考えるのは無理がある為です。
政策的梃入れによってREIT全体に安定感が戻る必要がありますが、それには資金の問題だけで片付く訳ではありません。
投資法人のポートフォリオに内包された問題点は簡単には改善されませんから、ここは合併等によって早期に改善することが求められます。
投資法人側の自助努力によって、REITの上場銘柄が中長期的に安定した基盤を作り、そこに資金を投入する形が最も効率が良いですし、生きた施策になります。
その為にも、投資法人は市場に後押しされるのではなく、自らの戦略として、合併という手法を真剣に検討して欲しいと考えています。
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