2008年04月04日

高齢者向け投資教育/池島麻美


 前回、投資教育の必要性を書かせて頂きましたが、今回は「高齢者向け投資教育」について書かせて頂きます。

高齢者の資産を狙った詐欺事件は後を絶ちません。
現代の日本人の寿命は数十年前に比べると確実に延びています。
それに伴って一定の収入源、安定した資産運用の必要性が出てくるのですが、高齢者の方に積極的に「投資の知識を身に付けてください」とは言いがたい気がします。
老後の資金作りは必要だと分かっていても、全く投資をしない自分の親に今さら資産運用の勉強をして欲しいとは全く思いません。
投資で増やすことを目的とした知識でなく、堅実な金融教育が必要だと思うのです。
まずは日本人の高齢者向け投資教育とは「年金」の知識を身に付けることでしょう。
年金の種類には国民年金、厚生年金、共済年金、厚生年金基金、適格退職年金など様々な種類があります。
サラリーマンであれば会社の指定の年金に加入していると思います。
しかし、それぞれ違いもありメリット・デメリットがあり、受取り時期によって受給額も違います。
ご自身の生活によって考えることが大事であり、最適な選択をするという年金の知識が高齢者の最初の金融教育だと思うのです。

金融教育の進んでいる米国でさえ、高齢者の詐欺被害が増えているとのことです。ベビーブームである(1946年~64年)の第一陣が還暦を迎え手退職し年金を受けとっている時期にあたります。
よって、もっともこの豊かな年齢層の投資する人が増え、同時に詐欺の標的にもなりやすいのです。
米国ではこの退職に差し掛かった年代の方への投資教育の拡充を急いでいるとのこと。特に変額年金を巡る問題が多発しており、公民館や地域の場所で詐欺から身を守るために投資勉強会が開催されたり、数種類の言語で詐欺の手口が書かれたチラシが配られて注意されているそうです。
米国では65歳以上の人口の三分の一は生活に見合う蓄え不足に直面しています。
日本だけでなく高齢者を巡る金融商品トラブルは抱えているのです。

日本では、年金問題により老後を不安に感じる人が増加していますが、金融知識のない高齢者が投資商品に目を向けることも大変危険だと思うのです。
いくら自助努力の必要な世の中といえども、信頼できる金融機関や行政が連携して高齢者向けの安心した投資情報や金融教育ができないものでしょうか。

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