不動産鑑定士の必要性/池島 麻美
最近、私の周りでも、知人の弁護士などから不動産鑑定士を紹介して欲しいという声を良く頂きます。
金融商品取引法施行の影響を受け、投資家保護のための不動産市場の透明性を高めるために、不動産鑑定の業界も変化しているということです。
というのも2007年7月に施行された不動産の鑑定評価基準の改正から始まっております。これにより新たに証券化不動産の鑑定評価に関する項目が追加されました。
以前は鑑定士毎に収益や費用など項目も違っていましたが、これらを統一することが決まり、鑑定評価の説明責任も問われることになりました。
この基準が統一されることで、取引にかかる時間も短縮できるとのことです。金融機関から融資を受ける際など、鑑定基準が定まっていれば取引も円滑になるといわれています。
また、証券化不動産は決算毎に評価を見直す必要があり、一度鑑定すればその後安定した収益にもなるでしょうし、不動産鑑定業界の売上高も拡大すると思われます。ファンドでは不動産鑑定士の人材不足から求人も増大しております。
しかしそのような状況の一方、鑑定価格が重視されすぎれば依頼者に有利に高めの鑑定をするのではないかとの問題を指摘する声もあります。
不動産鑑定士は、正当に評価する指標を鑑定するのです。証券化も、ホテルや商業施設など多様化している中で、不動産鑑定士は更なる技術の向上と社会的責任も担う役割となるのでしょう。
そう考えれば、不動産鑑定士の資格取得は司法試験もしのぐ「狭き門」と言われるのも納得です。9/26付の日経新聞によると、新制度の下で実施された不動産鑑定士試験の合格率はわずか2%ということです。
不動産市場の拡大のためには、円滑な取引そして不動産市場の透明性は必須だと思われます。今後、不動産鑑定士は不動産業界の重要な担い手になると思われます。
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