ついに不動産デリバティブ登場/池島 麻美
2001年から始まったJ-REITですが、2006年には11銘柄が加わり上場数も現在41銘柄、時価総額が合計6.5兆円に達し、市場規模も順調に拡大してきました。
J-REITや私募ファンドも含めると、不動産証券化市場は25兆円規模にまで拡大しております。株式市場が約530兆円の市場ですから、これからはますます不動産の証券化は増えるだろうと期待しております。
そこで、今後さらなる期待されるものが不動産デリバティブであります。
不動産デリバティブとは、オプションといって売買する権利をやり取りする取引、将来の不動産指数(複数の不動産の収益力や価格をもとに数値化)の値を売買する先物取引、不動産から得られる収益を金利交換するスワップ取引などがあります。
デリバティブとは、金融の取引において、相場変動からのリスク回避のために開発された商品です。不動産におきましても値下がりのリスクを回避するために、不動産のためのデリバティブの開発が求められるようになったのです。
前回、銀行の積極的な融資の後押しが不動産証券化を活性化させたということを書きましたが、特に不動産へ融資する銀行、不動産へ投資する機関投資家は、リスク回避の手段は必須であると思われます。
現在、東京証券取引所は「東証REIT指数」先物上場を検討しているということです。そのために解決しなければいけない問題は多々あるのでしょうが、まずは「不動産指数」を作るということでしょう。早稲田大学国際不動産研究所の川口有一郎教授は、海外の機関投資家と共同でアジア数十カ国ごとの不動産指数を算出し、指数を作成するためのプロジェクトを立ち上げたということです。現在早稲田大学院ファイナンス学科に在学している私は、川口教授の授業を受講している学生の一人。今後が楽しみです。
新たな金融商品として、更なる注目や投資家の取り込むためには市場の透明性と新たな研究に期待したいところです。
おすすめ国内不動産指数です。ご参考に。
●MTB-IKOMA不動産投資インデックス(13都市)・・・オフィスビルの収益率を推定
●ARES J-REIT不動産インデックス(全国)・・・オフィス、住宅、商業施設
●IPDジャパン不動産インデックス(全国)・・・オフィス、住宅、商業施設
●STIX・・・公示地価、賃料調査によりオフィスビル価格を推定
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