2007年投資ポイント「三角合併の解禁」/池島 麻美
日本経済も好調に推移し、企業業績も5期連続の増益ということで、株式市場も順調な滑り出しを見せております。2007年、投資テーマは何といっても2007年5月から解禁になる「三角合併」。
2006年も株式市場において日本国内における企業の合併・買収、つまりM&Aの動きが盛んになり大きなテーマとなりました。今年からはこれに外国企業が参戦するのです!今後日本の市場にいったいどういう影響を及ぼすのでしょうか!
最近、新聞紙面上でよく見かける「三角合併解禁」っていったいなんでしょう?
三角合併とは、一言でいうと‘株式交換によるM&A’。
株式交換というのは、親会社の株式を買収したい企業に渡して、買収したい企業の株式を受け取るということなのです。つまり企業からキャッシュを社外に入出させることなく企業買収ができるのです。国内企業同士の株式交換によるM&Aは2002年から認められており、着実に増え続けているのです。
三角合併を例えると、買収をする外国企業A社が日本法人の会社C社を設立します。(下図参照) ターゲットの会社をB社とします。C社は買収ターゲットのB社を株式交換で買収します。このとき手渡す株として日本法人C社ではなく、外国企業A社の株を使うのです。
これがいわゆる「三角合併」。A社がターゲットのC社株式交換で買収したのと同じになるのです。
株式交換によるM&Aはもちろん、時価総額の高い企業の方が買収には有利になります。
この三角合併が解禁されると、欧米企業より時価総額の低い割安企業や資産を眠らせている企業は買収される危険性が高いのです。今後、日本企業は今まで以上に株価を意識し、買収防衛するために時価総額を上げる努力が必要になるでしょう。外国企業の中には日本企業を意図も簡単に買収してしまえる企業はたくさんあるのですから!
現金や有価証券など余剰な高流動性資産を豊富に持つキャッシュリッチな企業は、株主還元策として自社株買いや増配を行い株価上昇を狙うことも出来ます。また金融資産の規模が大きければ外国企業の買収も事業の一環として考えられるでしょう。以前にも増して、新規事業など利益成長を追い求めることも意識しなければいけない状況が訪れています。
いずれにしても三角合併の解禁は2007年の投資の大きなポイントになることは間違いないでしょう。
買収する企業、買収される企業、買収に無縁な業界、買収されないよう防御する企業、それを取り巻く環境・・・などなど三角合併の解禁は注目なのです。
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